S&P500の週間上昇が、2023年以来で最長となる連続記録に届こうとしている。きっかけは中東——イランとの核交渉進展への期待が、リスク資産全体を一気に押し上げた格好だ。「地政学リスクが消えた」という楽観が市場を走ったのは確かだが、調べてみると、その土台はかなり薄い。

イラン交渉が動かした株価、その連鎖

ここ数週間、中東情勢の緩和観測が原油価格の安定につながり、エネルギーコスト上昇への警戒が薄れた。それが消費関連株や輸送株の買いを誘い、指数全体を押し上げるという流れだった。Bloombergも「米国株が2023年以来最長の週間上昇ストリークに向かっている」と伝えている。

「The S&P 500 is heading for its longest streak of weekly gains since 2023」― Bloomberg, May 2026

確かに数字は強い。ただ、イラン核交渉は「期待」の段階であって、合意には至っていない。過去を振り返ると、こうした「和平を先取りする買い」が決裂ニュース一本で急反転するケースは珍しくなかった。2015年のイラン核合意交渉でも、交渉が長期化するたびに市場は振り回されている。

FRBの議事要旨が消せない警告

もう一つ引っかかったのが、FRBの動向だ。直近の議事要旨ではインフレの長期化リスクが改めて確認され、市場が期待していた利下げ時期はさらに後ずれする可能性が示唆された。イラン核交渉 株式市場の関係だけ見ていると見落としがちだが、金利環境が変わらない限り、株式の割高感は解消されない。

FRB利下げ先送り リスクと地政学リスクが同時に存在する今の状況は、どちらか一方が「悪い方向」に動くだけで、上昇分を一気に吐き出す展開になりうる。買いの主体が「期待先取り」のポジションである以上、出口は狭い。

この先どうなる

最も重要な分岐点は、イラン核交渉の続報とFRBの次回会合、この2つが重なる時期だ。交渉が前進すれば原油安継続で株高が延びる可能性はある。だが決裂なら原油価格は即座に跳ね上がり、インフレ再燃懸念でFRBはさらなる利下げ先送りを迫られる——そのシナリオで今週の上昇は「期待で買って事実で売られた」記録になる。S&P500の週間上昇が続くかどうか、答えは交渉テーブルの上にある。