長期債利回りが約20年ぶりの高水準に達した——そのニュースが世界の金融市場を走ったのは2026年5月22日のことだった。ブルームバーグが報じたところによれば、長期国債の売り圧力は止まらず、利回りはリーマン・ショック(グローバル金融危機)前後に記録した水準にまで到達。ここまで来ると、単なる「金利の上下」とは受け取れない。

ソシエテ・ジェネラル ラジャッパ氏が「まだ終わらない」と言い切った理由

注目を集めたのが、ソシエテ・ジェネラルで米金利戦略を統括するスバドラ・ラジャッパ氏の発言だった。Bloomberg「Real Yield」に出演した同氏は、現在の売り圧力に「まだ余地がある」と明言している。

「The selloff in longer-maturity government bonds has pushed up yields to levels last seen during the global financial crisis, and market participants are warning the move has room to run.(長期国債の売りが続き、利回りはリーマン・ショック前後以来の水準まで上昇。市場関係者は、この動きにはさらなる余地があると警告している)」

ラジャッパ氏がこう言い切れるのには背景がある。今回の利回り上昇は、単なる景気過熱への反応ではないからだ。財政赤字の膨張とインフレ長期化への不信任——この二つが同時に市場を叩いている。どちらか片方なら中央銀行が対処できるが、両方が重なると話が変わってくる。

住宅ローン・企業・新興国、3つの「被弾ルート」

長期債利回りが上昇し続けるとき、最初に痛みを受けるのはどこか。調べると、大きく三つのルートが浮かぶ。まず住宅ローン。米国では30年固定住宅ローン金利が長期国債利回りと連動するため、すでに購入意欲が冷え込みつつある。次に企業の借入コスト。長期の社債発行に上乗せされるスプレッドが広がれば、投資計画の先送りが相次ぐ可能性がある。そして新興国。ドル建て債務を抱える国々にとって、米長期金利の上昇は資本流出と通貨安のダブルパンチになりやすい。

さらに見落とせないのが、中央銀行への影響だ。本来、利下げを模索したいFRBやECBにとって、長期金利が市場主導で跳ね上がる状況は「手を縛られる」ことを意味する。政策金利を下げても長期金利が下がらなければ、景気刺激効果は大幅に限定されてしまう。世界経済がソフトランディングを模索している局面で、このシグナルは各国中銀の選択肢を狭める制約として機能しつつあるといえそうだ。

この先どうなる

市場が注視しているのは、利回り上昇がどこで「天井」を見つけるかだ。グローバル金融危機以来の高水準という文脈で考えると、次の焦点は米議会の財政協議と、今後発表される主要国のインフレ指標に絞られてくる。財政赤字が縮小する見通しが立たない限り、長期債への売り圧力が和らぐ理由は乏しい——というのがラジャッパ氏を含む市場参加者の大方の見立てのようだ。住宅や株式など金利感応度の高い資産を持つ人にとっては、しばらく目が離せない展開が続くことになりそうだ。