中国国家チームが、保有するETFの約90%を2026年上半期中に手放す見通しだとBloombergが報じた。2015年の上海株式市場の大暴落で誕生した「政府の買い支え部隊」が、ここへきて大規模撤退に動く――この事実が持つ重さ、少し立ち止まって考えてみる価値がある。
国家チームとは何者か、なぜ9割削減が衝撃なのか
国家チームとは、中国証券金融公司(CSF)や中央匯金投資といった国有機関が中心となって構成された市場介入ファンド群のことだ。2015年の株価暴落時、上海総合指数が3週間で約30%下落するなか、政府の指示を受けてETFや個別株を大量購入し、市場の自由落下を食い止めた経緯がある。
それ以降、外資投資家の間では「土壇場になれば国家が買い支える」という暗黙の前提が共有されてきた。いわば市場に張り付いた「保険」のような存在だった。その保険が今回、ほぼ消滅する規模で縮小される。
「中国のいわゆる『国家チーム』は、国内株を追うETFの保有比率を上半期中に約90%削減する見通しである」(Bloomberg、2026年5月22日)
A株ETF売却の規模がなぜ9割なのか、詳細な内訳はまだ明らかではない。ただ、これほどの比率で手を引くとなれば、単なるポートフォリオ調整ではありえない。「市場は自分で立てる」という判断なのか、あるいは財政的に買い持ちを続ける余裕がなくなったのか。どちらであっても、外から見れば結果は同じだ。
米中摩擦が続く中、「自律回復」への賭け
タイミングが気になった。米中貿易摩擦は依然として解決していない。関税の応酬が続き、中国の輸出関連企業の業績見通しには不透明感が残る。そんな局面で、市場の人為的な床板を外す判断をしたということになる。
中国株式市場介入の縮小は、見方によっては「市場の健全化」とも読める。国家がいつでも値段を操作できる市場に対して、外資機関投資家が長期的に資金を入れにくかったのも事実。人為的な底上げをやめることで、むしろ価格発見機能が回復し、海外マネーを引き込む土台になるという論理もある。
ただ、それはあくまで市場が自律的に支え合える条件が整っている場合の話だ。国内の個人投資家心理、機関投資家の動向、政策金利、景気指標――それらが「国家チームの穴」を埋められるかどうかは、まだ誰にも分からない。
この先どうなる
近く焦点になるのは、実際の売却ペースと市場の反応だ。90%削減といっても、一括売却ではなく段階的な縮小である可能性は高い。売り方の巧拙次第で、上海・深圳市場への影響はかなり変わってくる。
外資から見れば、「国家保険」なき中国株にどれほどの値段をつけるかを改めて考え直す契機になりそうだ。A株ETF売却が完了した後の上海総合指数が、どの水準で自律的に安定するかが一つの答えになる。しばらくは静かに数字を追い続けるしかない、というのが正直なところだろう。