タリバンによる児童婚の法制化が、国連の緊急警告という形で国際社会の目に触れた2025年。新たに施行された離婚法令の中身を読むと、これは単なる慣習の黙認ではなく、国家がその仕組みを条文として固定したものだとわかる。

少女が離婚を求めるには「思春期まで待て」

法令の核心は二つの条項に集約されている。一つ目は、少女が婚姻からの離脱を求める場合、思春期に達するまで申請できないとする規定。つまり幼いうちに嫁がされた子どもは、自分の意思で抜け出す法的な手段をそもそも持てない状態に置かれる。

もう一つが、虐待する夫から逃げようとする女性に調停を義務付ける条項だ。

アフガニスタンの新たな法律は、少女が婚姻から抜け出しを求めるには思春期まで待つことを義務付けている。また、虐待する夫から逃げようとする女性には調停を求めている。(The New York Times)

被害者が加害者と同じテーブルに座ることを国が強いる——この構図が、国連が「深刻な人権侵害」と断じた最大の理由といえそうだ。アフガニスタンでは18歳未満の婚姻が依然広範に存在しており、国連はこの法令がその慣行を追認・強化するものだと分析している。

2021年政権掌握から続く「権利の剥奪リスト」

タリバンが政権を掌握した2021年以降、女子の中等・高等教育の禁止、女性の就労制限、公共の場での男性同伴義務と、権利の剥奪は段階的かつ組織的に積み上げられてきた。今回の法令はそのリストにまた一行が加わったものでもある。

ただ、今回の特徴は「慣行を黙認する」のではなく「法典に刻む」という点にある。国際社会からの批判を受けても制度として残り続ける強度を持つ。アフガニスタン女性人権をめぐる国際的な介入の余地は、この法制化によってさらに狭まった可能性がある。

国連や各国政府の声明が出ても、タリバン政権がそれに応じる姿勢を見せてきた前例は乏しい。外交的圧力の有効性については、率直に言って楽観視できる材料が今のところ少ない。

この先どうなる

国連人権理事会や各国NGOはタリバンへの制裁強化や支援停止を再び求める動きに出るとみられる。ただ、経済制裁が民間人、とりわけ当事者である女性や子どもたちの生活を直撃するというジレンマは残る。国際社会が「圧力」と「人道支援」をどう両立させるかが、次の焦点になりそうだ。アフガニスタン女性人権の問題が法令という形で固定されたいま、外から変えられる回路がどこにあるか——それを探し続けるしかないのが現状らしい。