ベン・グビルが自分で動画を上げた。それが最大の失点だったかもしれない。ガザへの支援物資を運ぼうとしたグローバル・スムード・フロティラの活動家数百人がイスラエルに拿捕・拘束され、その後国外追放された事件で、イスラエル極右・国家安全保障大臣イタマル・ベン・グビルが投稿した映像が世界に拡散。手を後ろで縛られ膝まずかされた活動家たちを、大臣自身が嘲笑している場面が映っていた。
英・ポーランド、相次ぎイスラエル代理大使を召喚
動画が拡散してから数時間のうちに、外交的な波紋が一気に広がった。英国は在英イスラエル代理大使ダニエラ・グルドスキー・エクシュタインを外務省に呼び出し、ベン・グビルの行為への「強い非難」を直接伝達。ポーランドも在ワルシャワのイスラエル代理大使を召喚し、シコルスキー外相がSNSで「憤慨」を表明、謝罪要求に加えてベン・グビルのポーランド入国禁止を求める異例の対応に踏み切った。
「私たちは映し出された拘束状況に深く懸念しており、イスラエル当局に説明を求めた。関係者全員の権利を保護する義務があることを明確に伝えた。」(英国外務省)
ポーランド外務省の報道官によると、フロティラに参加していたポーランド国籍の2名はすでに帰国の途についているという。英国の召喚がグローバル・スムード・フロティラへの連帯という意味合いよりも、「閣僚が拘束映像を使って嘲笑した」という行為そのものへの批判に的を絞っているのが印象的だった。
イタリアも動いた。EU制裁の議論へ
英国とポーランドだけじゃなかった。イタリアのタジャーニ外相も、ベン・グビルに対するEUレベルでの制裁を検討するよう欧州連合に求める考えを表明。イスラエル大使召喚という二国間の外交問題が、EU全体の制裁議論に発展する可能性が出てきた。グローバル・スムード・フロティラには複数のEU加盟国の市民が参加していたため、欧州側の政治的コストは今後さらに上がりそうだ。
この先どうなる
ベン・グビルは連立政権内でも突出した強硬派として知られ、過去にも国際社会の批判を気にしない発言を繰り返してきた。ただ今回は、本人が撮影・投稿した映像が直接的な証拠となっており、「知らなかった」「誤解だ」という言い訳が通用しない局面でもある。EU制裁の議論が本格化すれば、ネタニヤフ政権がベン・グビルをどう扱うか、連立の足元が揺れる可能性もある。イスラエル大使召喚が続く国が増えるかどうか、今後数日間の動向が焦点になりそうだ。