レアアース米国国内生産の再建が、いよいよ待ったなしの段階に入った。電気自動車のモーター、F-35戦闘機の磁石、精密誘導ミサイルの制御系——これらすべてに組み込まれる17元素群を、米国はいつの間にかほぼ丸ごと中国に委ねていた。そのツケが、2025年以降の中国による輸出規制強化というかたちで一気に表面化しつつある。
「汚い産業」と切り捨てた30年間のツケ
なぜここまで依存が深まったのか。戦略コンサルティング会社クインス・ストリート・ストラテジーの主席アナリスト、トリップ・ホーニックはブルームバーグの取材にこう語った。
「投資家が『コストが高すぎる』『汚い産業だ』と判断したために、米国はレアアースの採掘・製造を海外に押し出すことを許してしまった。今、その代償に直面している」
採掘現場から出る放射性廃棄物、精製工程の環境負荷——これらを嫌った民間資本が引いた結果、米国内の鉱山や製錬所は次々と閉鎖された。代わりに低コストで環境規制も緩やかな中国が世界シェアの約8割を握るに至った経緯は、「市場の合理性が安全保障を空洞化させた」典型例とも言えるかもしれない。
再建に最短10年、同盟国との精製網が鍵に
米国が今動かしている対策は大きく二本柱。ひとつは国内埋蔵地の開発加速で、カリフォルニア州マウンテンパスなど既存の採掘拠点への投資が再び活発になっている。もうひとつが、オーストラリア・カナダ・日本といった同盟国と組む精製網の構築だ。中国 希土類 輸出規制の影響を受けにくいサプライチェーンを複数ルートで張り巡らせようという発想で、クリティカルミネラル安全保障の観点からも各国の思惑が一致している。
ただし楽観はできない。埋蔵地の調査から採掘、精製、安定出荷まで、新規プロジェクトが軌道に乗るには最短でも10年単位の時間軸が必要と報じられている。中国が輸出制限を段階的に締め上げるペースに、この「10年」が追いつくかどうかは今のところ見通せないままだ。
この先どうなる
短期的には、備蓄量の積み増しと同盟国間の在庫融通が緊急措置として機能するだろう。中期的には米政府による補助金・ローン保証の拡充が民間投資を呼び込む呼び水になり得る。ただし精製技術の移転や環境許可の取得といった壁が各所に残っており、「計画倒れ」になったエネルギー転換政策の前例がないわけでもない。レアアース 米国 国内生産の本格復活には、カネだけでなく規制改革と政治的な継続意志の両輪が不可欠——そこを押さえられるかどうかが、今後10年の分岐点になりそうだ。