日銀利上げ2026年6月——そう明言したのは、世界有数のプライベートエクイティ大手カーライル・グループでグローバルリサーチ&投資戦略部門を率いるジェイソン・トーマス氏だった。Bloombergが5月21日に報じたもので、機関投資家のあいだに静かな緊張が走っている。
カーライル・トーマス氏が6月利上げを予測した理由
日銀は今年1月、政策金利を0.5%へ引き上げ、約17年ぶりの高水準に達したばかりだ。普通ならここで少し様子を見る——それが市場の多数派の読みだったが、トーマス氏の見立ては違う。
カーライルほどの規模の機関投資家が「6月」と具体的な月を示してきたのは、それなりの根拠があるはずで、単なる観測気球とは受け取りにくい。賃金上昇の持続性、国内インフレの粘着性、そして円安圧力——これらが重なれば、日銀が「次の一手」を急ぐ動機になりえる。
「カーライル・グローバル・リサーチ&投資戦略部門長ジェイソン・トーマス氏は、日本銀行が今年6月に利上げを実施すると予測している。」(Bloomberg、2026年5月21日)
BOJ金融政策の転換点を世界の機関投資家が「早め早め」に織り込もうとしている、ということでもある。
30年ぶりの常識崩壊が円・住宅ローン・アジア市場を揺らす
話を広げると、ここで引っかかるのが「連鎖」だ。追加利上げが実現した場合、影響は日本国内にとどまらない。
まず円相場。金利差縮小は円高圧力を強め、輸出企業の業績見通しを一変させる可能性がある。次に住宅ローン市場。変動金利型を選んでいる家庭は全体の7割超ともいわれ、利上げのたびに返済額が膨らむ。さらにアジア全域の資金フロー。超低金利の円は長年「キャリートレードの調達通貨」として使われてきた。その前提が崩れれば、新興国市場から資金が引き揚げられるシナリオも否定できない。
30年続いた超低金利という「日本の常識」が書き換えられる過程は、どうやら静かには進まないらしい。
この先どうなる
6月の日銀政策決定会合まで、市場の目線はデータに釘付けになりそうだ。注目は春闘後の実質賃金の推移と、コアCPIが日銀目標の2%を安定的に超え続けるかどうか。カーライル・ジェイソン・トーマス氏の予測通りに動くかどうかはともかく、「利上げはもうない」という空気は、少なくとも机上から消えた。次の数週間で出てくる経済指標が、6月決定の地ならしになる——そう見ておくのが自然じゃないかと思う。