P-8Aポセイドン哨戒機5機が、フライトレーダー24にリアルタイムで位置を映したまま、キューバの海岸線からわずか80kmを飛んでいる——軍用機が通常やらない「見せる偵察」が5月11日以降、続いているらしい。

トランスポンダーをオフにしない理由:5機+3機の異常な飛び方

BBC Verifyがフライトレーダー24のデータを分析したところ、米海軍はP-8Aポセイドン少なくとも5機に加え、MQ-4Cトリトン無人機3機をカリブ海に展開していた。通常、軍用機はトランスポンダーを切って飛ぶ。位置情報を外部に流すのはむしろ民間機の話だ。

ここが引っかかった点で、英国のドローン専門家スティーブ・ライト博士はBBCにこう述べている。

「トランスポンダーをオンにしたままにしているのはおそらく意図的。米国は『監視の目が空にある、締め付けを続ける』というメッセージを明確に送ろうとしている」

つまり「見せること」自体が作戦だった、ということになる。敵に感知されないよう動くのではなく、敵に見えるよう動く——それが今回の飛行パターンだ。

石油封鎖+ドローン疑惑:キューバを追い詰めた2つの圧力

背景を整理すると、米キューバ緊張2025の直接の引き金は2段階だった。

まず、ワシントンがキューバへのエネルギー供給を事実上遮断する石油封鎖を敷いた。電力不足が深刻化しているキューバにとって、これは生活インフラへの直撃だ。次に、米ニュースサイトAxiosがキューバは米本土への攻撃能力を持つドローンを取得済みと報じ、緊張が一気に跳ね上がった。

キューバのキューバ外相はこの報道を「介入の口実づくり」と断じ、「脅しも戦争も望まない」と反論。一方でルビオ米国務長官は5月14日、キューバ独立記念日に合わせてスペイン語で直接演説し、「キューバ国民との新しい関係」を提案するという、圧力と対話を同時進行させるダブルトラック外交を見せた。

MQ-4Cトリトンのカリブ海展開とP-8Aポセイドンのキューバ偵察が重なるタイミングでのこの演説——偶然ではなさそうだ。

この先どうなる

米国が「見える化」した偵察を続ける限り、キューバ側の心理的圧力は維持される。問題は、それがキューバ政府を対話に引き寄せるか、逆に強硬姿勢を固定させるかだ。石油封鎖が長引けば民衆の不満が高まり、政権の選択肢は狭まる。ルビオ演説で「扉は開いている」と示した以上、次の一手はハバナ側に渡った格好になっている。飛行ルートが今後、80kmから縮まるか広がるか——それがバロメーターになるんじゃないかと思う。