習近平・プーチン北京会談が、トランプ訪中からわずか数日後に行われた——この間隔は偶然じゃない。大人民会堂の正面に並んだ儀仗兵、礼砲、軍楽隊。プロトコルはトランプ歓迎式典とほぼ同一で、習近平が世界に向けて送ったメッセージは、言葉より先に映像で伝わってきた。

20本超の協定、でも「最大の案件」は棚上げ

今回の首脳会談で締結された協定は貿易・技術分野を中心に20本を超えた。中露貿易協定2025として積み上げられた数字は、確かに両国関係の深さを示している。ウクライナ戦争と西側制裁でロシアの対中依存は一段と深まり、中国は今やロシア最大の貿易相手国かつ最大の石油・ガス購入国だ。

ただ、協定リストをよく見ると、肝心なものが抜けている。プーチンが長年にわたって承認を求め続けてきた天然ガスパイプライン「シベリアの力2」——この巨大インフラ案件は、今回も署名に至らなかったと報じられた。共同声明も長文ながら「大きな突破口なし」という評価が目立つ。

「わずか数日間隔で行われた二つのハイレベルな首脳訪問は、まさに習近平が世界に向けて発信したいイメージそのものだ——誰とでも対話し、誰にも縛られない。」(BBC News)

シベリアの力2が止まり続けている背景には、中国側の価格交渉と、パイプライン完成後にロシアの対中依存がさらに固定化されることへの、北京の計算があるとみられている。ロシアが必要としているから、急がなくていい——そういう構図が見え隠れする。

プーチン訪中20回超、それでも「対等ではない」

プーチンが中国を訪問するのはこれで20回を超える。個人的な信頼関係は本物だろう。ただ、ウクライナ侵攻以降の力学は明確に変わった。かつては「戦略的パートナーシップ」と並列で語られた両国関係が、今は中国主導の非対称な関係に傾いている。

キングス・カレッジ・ロンドンのサミール・プリ氏はBBCに対し、「世界の新時代は西洋中心ではなくなっている。中国は直接的に紛争を解決しようとするのではなく、その地位をより漸進的に活用しようとする」と語った。北京が「仲裁者」ではなく「磁石」として機能しようとしているという見方は、今回の演出を見ると腑に落ちるところがある。

この先どうなる

シベリアの力2の行方は、中露関係の温度計になっていく可能性が高い。ロシアの財政がさらに圧迫されれば、中国はより有利な条件を引き出しやすくなる。一方で習近平としては、欧米との関係修復も視野に入れながら動いているはずで、ロシアに肩入れしすぎる姿を見せることには慎重なはずだ。来年以降の首脳外交の舞台が引き続き北京に集まるなら、そのたびに「誰が何を持ち帰れたか」という問いが問われることになる。プーチンが今回手ぶらで帰ったとすれば、次の交渉でどんな札を切るのか——そこが次の注目点になりそうだ。