GoogleとBlackstoneの提携が、AIインフラの勢力図を塗り替えようとしている。ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた内容によれば、両社はデータセンターをはじめとするAIインフラの開発・運営を手がける新会社を共同設立する方向で動いているという。テック企業と金融資本がここまで密に組むのは、正直かなり異例の話だった。
Blackstoneが1兆ドル超の運用資産を引っ提げてAI市場に入ってくる
ブラックストーンは世界最大級のオルタナティブ資産運用会社で、運用資産は1兆ドルを超える。そのブラックストーンが今回、単なる出資者ではなく「新会社の共同設立者」として名を連ねるらしい。これは投資ではなく、インフラそのものを所有しにいくという動きだ。
背景にあるのは、AIデータセンターのコスト爆発だ。大規模言語モデルの学習・推論に必要な計算資源は、電力・冷却設備の調達コストを含めると、テック企業単独では賄いきれない規模に膨らんでいる。Googleほどの企業でも、民間資本のパワーを使わないと追いつかない局面に入ってきた、ということらしい。
「事情に詳しい関係者によると、GoogleとブラックストーンはデータセンターをはじめとするAIインフラを開発・運営する新会社の設立に向けて提携すると報じられた。」(WSJ報道より)
AIインフラ投資という言葉はここ数年よく聞くようになったが、今回の件はその性質が変わってきたことを示しているんじゃないか。従来は「テック企業がインフラを自社建設する」か「クラウド事業者が貸し出す」という構図だった。それがここへきて「金融資本がインフラを共同所有する」という形に変わりつつある。
データセンター資本化が加速すると、次に問われるのは「誰がデータを握るか」
調べていくと引っかかったのが、所有と運営の分離という問題だ。ブラックストーンが資本を出してインフラを持つ一方、Googleが技術と運営を担う形になるとすれば、そこには利害の複雑な綱引きが生まれる。テナントとなる企業にとって、自社データが「金融資本が所有するデータセンター」の上で動くことへの感度は、今後じわじわ高まっていきそうだ。
データセンター資本化の流れはすでに世界規模で進んでいて、ソフトバンクやサウジのPIFなども同様の構図で動いている。Google×Blackstoneの新会社はその流れの中でも、規模・技術力・資本力の三拍子が揃うという点でひときわ目立つ存在になるかもしれない。
この先どうなる
新会社の正式発表と出資規模の開示が次の焦点になる。AIインフラ投資の競争はMicrosoft・Amazon・Metaも加わり、すでに年間数百億ドル規模の消耗戦に突入している。ブラックストーンの民間資本が加わることで、Googleがどこまでデータセンター展開を加速できるかは注目点だ。また、この「テック×金融資本」モデルが成立すれば、他のテック大手も同様の動きに追随する可能性が高い。AIインフラが金融市場の商品として組み込まれていく流れは、もう止まらないんじゃないかというのが、今の段階での正直な見立てだ。