トランプ イラン最後通牒の期限は、もう数日先に迫っている。2025年5月19日、ホワイトハウスで記者団の前に立ったトランプ大統領の口から出た言葉は、外交的な婉曲表現を一切まとっていなかった。「来週初頭になるかもしれない」「応じなければ再び大きな打撃を与えなければならないかもしれない」——この二文だけで、世界の原油市場が緊張した。

ホルムズ海峡リスク:日量150万バレルが人質に

調べてわかったのは、イランの石油輸出が日量150万バレルを超えているという事実だけじゃない。ホルムズ海峡を経由する世界の原油取引量は、全体のおよそ2割にのぼる。イランが何らかの報復に動けば、封鎖や機雷敷設といった選択肢が浮上し、欧州・アジアの製油所は即座に代替調達を迫られる展開になりかねない。

ここが引っかかったのだが、今回はベッセント財務長官が同じ日に動いていた。ブルームバーグの報道によれば、ベッセント長官は同盟国に対してイラン制裁を「積極的に執行する」よう促したという。軍事的な圧力と制裁の締め付けが同じタイムラインで走っているわけで、イランが感じるプレッシャーは単なる言葉の脅しとは重みが違う。

「We may have to give (Iran) another big hit」——トランプ大統領、ホワイトハウスにて(Bloomberg, 2025年5月19日)

「また」という単語が示すとおり、トランプ政権はイランへの先行打撃をすでに一度実施済みという前提で話している。その文脈の中で「再び」が使われている点は、単なる脅しよりもはるかに具体的な警告として受け取るべきだろう。

イラン核交渉 2025——交渉テーブルが残っている間に

イラン核交渉 2025の焦点は、ウラン濃縮の上限と査察体制の受け入れ可否に集約されている。イラン側はここ数週間、交渉の意思を示しながらも「段階的な制裁解除」を前提条件として主張しており、米国との溝は埋まっていないらしい。

一方、トランプ政権にとってもタイミングは重要で、国内では共和党強硬派が軍事行動を支持する声明を出し始めている。交渉が決裂した場合、「空爆を選ばなかった」という批判を受けるリスクよりも、「空爆に踏み切った」ことで生じる中東の連鎖反応のほうが怖い——その板挟みが、「来週初頭かもしれない」という曖昧な期限設定に滲み出ているんじゃないか。

この先どうなる

来週初頭までに合意の輪郭が見えなければ、米国による追加制裁の強化か、限定的な軍事オプションの発動、どちらかが現実の選択肢として浮上してくる。ただし、イスラエルの動向、湾岸諸国の調停の可能性、中国によるイラン産石油の買い支えなど、複数の変数がまだ宙に浮いている状態。ホルムズ海峡 原油リスクという観点では、今週末から来週月曜の市場開始前後が、最初の判断ポイントになりそうだ。核合意か空爆かという二択は、実はどちらでもない「中途半端な圧力の継続」という第三の道で引き延ばされる可能性も残っている。