エボラ出血熱コンゴ2025の感染者数が、公式数字の「2倍以上」になっている可能性が浮上した。コンゴ民主共和国・イトゥリ州を震源に広がるこのアウトブレイク、当局が把握している疑い例は514件・死者136人。ところがロンドンのMRCグローバル感染症分析センターが月曜日に公表したモデリングは、「相当規模の検出漏れがある」と結論づけ、実際の感染者がすでに1,000件を超えている可能性を排除できないと警告した。数字の倍以上が「見えていない」とすれば、感染制御の前提そのものが揺らいでいることになる。

WHOが認めた「調べるほど広がっている」現実

WHO医師アン・アンシア氏は、BBCの取材に対して踏み込んだ言い方をしている。「調査を進めれば進めるほど、感染が他の地域にも及んでいることが鮮明になる」。これは楽観論ではなく、公式機関が「実態把握の遅れ」をほぼ認めたに等しい発言だ。現場では住民が「感染した人たちが本当に早く死んでいく。エボラに苦しめられている」と訴えており、手洗い以外の防護物資が手に入らない状況も報告されている。地域住民がフェイスマスクの配布を待ちながら、どう身を守ればいいかわからないと語る声も出てきた。

「ロンドンを拠点とするMRCグローバル感染症分析センターが月曜日に発表したモデリングによると、『相当な』検出漏れがあったことが示唆され、すでに1,000件を超える感染が存在した可能性を排除できないとされた。」(BBC / MRC Centre for Global Infectious Disease Analysis)

感染者を探す前に、感染者を「数えられていない」という問題。これが今回の事態を複雑にしている。モデリングが示す「真の規模は依然として不確か」という言葉は、裏返せば今後の数字がどう跳ね上がってもおかしくないという意味でもある。

承認ワクチンゼロのブンディブギョ株、ウガンダへ越境

今回の流行株は「ブンディブギョ型」。2007年にウガンダで初確認されたこの株、致死率は過去の主要アウトブレイクより低いとされる一方、承認済みのワクチンが現時点で存在しない。2014〜16年の西アフリカ大流行後に承認されたワクチンはザイール株向けであり、ブンディブギョ株には直接使えない。つまり、感染封じ込めの「切り札」を持たないまま対応を迫られているのが現状だ。そして隣国ウガンダで1人の死亡が確認された。コンゴ東部とウガンダの国境地帯は人の往来が活発で、ウイルスが国境を越えること自体は珍しくないが、ここから先の連鎖が問われることになる。WHO感染拡大のウガンダ越境を受け、国際的な監視体制の強化が急ピッチで求められている状況だ。

この先どうなる

MRCのモデリングが示した「実態1000超」が正しければ、今後の公式カウントはさらに増える可能性が高い。コンゴ東部は武装勢力の活動も活発で、保健チームが安全に活動できないエリアも多い。検出漏れが生まれやすい構造は、しばらく変わらないだろう。ブンディブギョ株向けワクチンの開発・緊急使用に向けた動きが加速するかどうか、またWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の宣言に踏み込むかどうかが、次の分岐点になりそうだ。数字が動くたびに、その裏に見えていない感染者が何人いるのか——そこに目を向け続けないといけない状況が続く。