AmCham Chinaの会長が「予測可能性」という言葉を使ったとき、それはビジネスの世界では相当重い意味を持つ。ジェームズ・ジマーマン会長がブルームバーグのインタビューで語ったのは、トランプ・習会談が在中米系企業にとって「投資判断の前提条件を変えうる」出来事だったということだ。

ジマーマンが「予測可能性」にこだわる理由

これまで米中の経済関係を一言で表すなら、「綱渡り」がぴったりだったんじゃないか。関税は首脳同士の電話一本で動き、企業のサプライチェーン計画は数週間単位で見直しを迫られてきた。

ジマーマン会長が強調したのは、今回の会談が単なる緊張緩和ではなく、対話の「仕組み」を残したという点だ。

「トランプ・習会談はビジネスコミュニティに対して高い予測可能性と明確性をもたらした。双方が関係安定化への意欲を示した。」(ジェームズ・ジマーマン/AmCham China会長、ブルームバーグ)

この発言で注目したいのは「明確性」という語だ。曖昧さが投資機会を潰してきた過去3年を振り返ると、「明確であること」自体がニュースになるほど、米中ビジネス環境は混濁していたということでもある。

Board of Trade 米中──「一時的合意」から「制度」へのシフト

今回の会談で両首脳が合意したBoard of Trade 米中という枠組み、ここが実は最大のポイントらしい。

これまでの米中経済対話は、G20の廊下で交わされた握手レベルの「合意」が多かった。次の首脳が変われば白紙に戻るリスクがあり、企業側も長期投資に踏み切れない状況が続いていた。今回は「委員会」という形で制度化するという話だ。

AmCham Chinaが拠点を置く北京の企業コミュニティでは、この動きを単純に歓迎する声がある一方、「委員会が機能するかどうかは運営次第」という冷静な見方も出ている。制度ができることと、制度が使われることは別の話、というわけだ。

ただし、ジマーマン会長があえてブルームバーグの場でこの言葉を使ったことには意味がある。AmCham Chinaとしての公式見解として「前向きに評価する」というシグナルを市場に発信した格好で、これは在中米系企業にとっての「お墨付き」に近い機能を持つ。

この先どうなる

Board of Tradeが実際に稼働するまでには、委員の選定・開催頻度・議題設定など詰めるべき課題が残っている。楽観論が先走るリスクは否定できない。

一方で、AmCham Chinaが「予測可能性が上がった」と公言した事実は重い。これをきっかけに在中投資の見直し検討が動き出す企業が出てきても不思議じゃない。次の注目点は、委員会の初回会合がいつ、誰を議長に据えて開催されるか。そこで「制度化」が本物かどうかの答えが出る。