トランプ最後通牒イランが、世界の耳目を一気に引き寄せた。4月初旬の停戦合意から約3週間。トランプ大統領はTruth Socialに「何も残らなくなる」と投稿し、交渉の棚上げに強烈な圧をかけた。停戦とは何だったのか、と思わず首を傾けたくなる展開だ。
イランが出した4つの条件、ワシントンの返答は「ゴミ」
イラン外務省が提示した条件は、ざっくり言うとこの4つ。レバノン全戦線での即時停戦、米海軍による港湾封鎖の解除、ホルムズ海峡でのイラン主権の保障、そして戦争被害への補償要求。
これに対してトランプ政権は「totally unacceptable(完全に受け入れ不能)」と一蹴。イラン外務省のバガエイ報道官は「責任ある、寛大な提案だ」と反論したが、ワシントンは耳を貸さなかった。
半官製のメフル通信が「米側が具体的な譲歩を示さなければ交渉は行き詰まる」と警告したのも、状況の深刻さを物語っている。
「彼らは速やかに動いた方がいい。さもなければ何も残らなくなる。時間は待ってくれない!」— ドナルド・トランプ(Truth Social)
この文言、実は今回が初めてじゃない。停戦発表の直前にも「文明ごと消えてなくなる」と似た表現で圧力をかけていた。つまりトランプにとって、これは外交上の常套句でもある。ただ、停戦後に同じ言葉が繰り返されると、重みが変わってくる。
ホルムズ海峡の緊張が原油市場を揺さぶる可能性
今回の交渉が崩れた場合に最も警戒されるのが、ホルムズ海峡の緊張が再燃するシナリオだ。世界の原油輸送の約20%が通過するこの海峡で、イランが「主権」を強調しはじめたこと自体、交渉カードとしてだけでなく、軍事的なメッセージでもある。
米イラン停戦交渉決裂となれば、日本を含むアジア各国のエネルギー調達にも跳ね返ってくる可能性がある。原油価格は現時点では大きな動きを見せていないが、市場はすでにトランプの投稿を注視していた。
加えて、この週末にはトランプがイスラエルのネタニヤフ首相と電話会談を予定していた。レバノンでの戦闘継続がイランの「全面停戦」要求と直結しているため、イスラエルの対応がそのまま交渉の行方を左右しかねない構図だ。
この先どうなる
米イラン停戦交渉の焦点は、今後数日でネタニヤフとの会談後にトランプがどう動くかに絞られてきた。イスラエルがレバノンでの攻撃を続ける限り、イランは「全面停戦なし」の立場を崩さないだろう。ホルムズ海峡の緊張をめぐる駆け引きも、水面下でじわりと続いている。トランプ流の「タイムリミット外交」は4月の停戦合意時に一度は機能した。今回、同じカードが通じるかどうか——その答えは、週内にも出てくるかもしれない。