レバノン停戦違反が止まらない。4月17日に停戦が発効してから、すでに400人以上が命を落とした——それがレバノン保健省が月曜日に公表した数字だ。累計死者数は3,020人。停戦という言葉がこれほど空虚に響くニュースも、なかなかない。

45日延長の翌日に24村を爆撃した現実

先週金曜日、レバノンとイスラエルは停戦を45日間延長することで合意した。ところが翌土曜日、イスラエルはレバノン南部とベカー渓谷の24以上の村を次々と空爆。事前に避難警告が出されたのはわずか9か所だったらしい。残り15か所以上の住民は、警告なしに爆撃を受けたことになる。

「保健省によれば、そのうち400人以上が4月17日の停戦発効後に死亡している。停戦発効後も繰り返される違反が続く中、脆弱な停戦にもかかわらず戦闘が収まる気配はない」(BBC News)

調べていて引っかかったのは、この停戦合意の条文だ。アメリカが仲介したこの取り決めには、イスラエルがヒズボラの軍事活動への対抗と判断した場合に攻撃を容認する条項が含まれている。つまり、イスラエルが「ヒズボラの動きがあった」と言いさえすれば、攻撃は合意の範囲内になる。レバノン側が「停戦違反だ」と非難しても、相手は「合意通りだ」と返せる構造になっているわけだ。

ヒズボラを引き込んだ「3月2日」という起点

そもそもこの衝突がレバノンを巻き込んだのは3月2日のこと。イスラエルの攻撃でイランの最高指導者が死亡したことを受け、イラン支援を受けるシーア派武装組織のヒズボラがイスラエルにロケット弾を発射した。それ以来、戦線はレバノン南部へと広がり、死者数は積み上がり続けている。

イスラエルによるベカー渓谷空爆も、この流れの延長線上にある。ベカー渓谷はヒズボラの影響圏とされる地域で、軍事的に意味のある標的が点在しているとされる。ただ、今回の空爆では農村部の集落も対象に含まれており、「ヒズボラ対抗」という論理がどこまで適用できるのかは疑わしい部分も残る。

レバノン政府は「停戦延長への合意直後にこれだけの規模の攻撃を受ければ、国内で武装勢力の武装解除を進める努力が根底から崩れる」と非難している。6月初旬に予定されている次の交渉まで、いったい何人の犠牲者が増えるのか——今の状況だと、その数字は読めない。

この先どうなる

6月上旬にレバノンとイスラエルは交渉を再開する予定とされているが、停戦延長の翌日に大規模空爆が行われたという事実は、交渉テーブルの信頼性を最初から削いでいる。ヒズボラ側も土曜日に反撃作戦を実施したと発表しており、双方の「停戦内攻撃」が常態化すれば、45日という期限は有名無実になりかねない。次の交渉で何らかの拘束力ある合意が生まれるかどうか、それが今後の死者数を左右する最大の変数になりそうだ。