ブンディブギョウウイルスによるエボラ出血熱が、コンゴ民主共和国で死者100人を超えた。感染疑い例は390件超。承認済みの治療薬もワクチンも存在しない株による流行に、WHOが国際的な公衆衛生上の緊急事態を宣言したのは、ここ数日のことだ。
米国人6人が暴露、うち1人に症状が出ている
ここで引っかかるのが、米国人の関与だ。CBSニュースの報道によると、少なくとも6人のアメリカ人がコンゴ民主共和国エボラ2025の流行下でウイルスに暴露されたとされる。うち1人はすでに症状が出ており、3人は「高リスク接触者」に分類されているらしい。感染が確認されたかどうかは現時点で不明だが、米CDCは「直接的に影響を受けた少数のアメリカ人の安全な退避を支援している」と発表している。
医療専門メディアSTATの報道によれば、この小規模グループをドイツ国内の米軍基地へ移送する方向で調整が進んでいるとのこと。ただし確認はされていない。CDCは日曜の記者会見で、当事者に関する直接的な質問への回答を避けたままだった。
「コンゴ民主共和国でのエボラ出血熱流行において少なくとも100人の死亡が報告され、感染疑い例は390件超に上ると、アフリカCDC長官がBBCに語った。WHOはこの流行を国際的な緊急事態と宣言した。」(BBC News / Africa CDC)
ブンディブギョウウイルスとは何か、なぜワクチンがないのか
エボラ出血熱というと、2014年の西アフリカ大流行や2018〜2020年のコンゴ流行を思い浮かべる人が多いはずだ。あのときの株には「ザイール型」と呼ばれる種類があり、対応ワクチンと治療薬の開発が進んでいた。ところが今回のコンゴ民主共和国エボラ2025で確認されたブンディブギョウウイルスは、別の話になってくる。2007年にウガンダで初めて記録されたこの型に対しては、承認された医薬品が現時点で存在しない。治療は症状への対症療法が中心で、医療従事者への感染リスクも相応に高い。さらに、ウガンダでも感染者2人・死者1人が確認されており、国境を越えた拡散への警戒が高まっている。
この先どうなる
WHOの国際的緊急事態宣言は、各国政府や製薬企業に対して資源投入と情報共有を促す最も強い警告といえる。ただ宣言が出たとしても、ブンディブギョウウイルス向けの治療薬開発はゼロから始まるに近い状況で、短期間でのワクチン供給は難しいだろう。米国人の退避・隔離がドイツ米軍基地で進む一方、コンゴ国内ではまだ感染制御のめどが立っていない。飛び火先のウガンダを含めた広域封じ込めが機能するかどうか、今後数週間が分かれ目になりそうだ。現場の医療従事者の安全確保と国際支援の速度が、この流行の行方を決める。