トランプ イラン攻撃中止――その発表がTruth Socialに投稿されたのは、攻撃実行予定日とされた火曜日の直前だった。止めたのは米軍でも議会でもなく、カタール・サウジアラビア・アラブ首長国連邦の三カ国首脳だったというのが、今回いちばん引っかかるところだ。

湾岸三カ国が直談判、トランプが折れた夜

トランプ氏はTruth Socialへの投稿で、攻撃中止の理由をこう説明している。

「カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の首脳から要請を受けた。現在、真剣な交渉が進行中だ。米国にとって非常に受け入れ可能な合意が成立すると伝えられている。」

三カ国にとっては死活問題だったと考えると話は合う。ホルムズ海峡封鎖が長引けば、湾岸産油国が最も割を食う。タンカーが通れなければ、自分たちの石油も売れない。外交的な「要請」の裏には、相当な実利計算があったはずだ。

一方でトランプ氏は「合意が得られなければ、米軍はいつでも大規模な全面攻撃に移行できる状態にある」とも述べており、交渉を急がせる圧力は緩めていない。攻撃中止はあくまで「一時停止」という位置づけらしい。

世界の石油20%が通る海峡、今も封鎖中

気になるのはホルムズ海峡封鎖が続いていること。世界の石油とLNG輸送量の約20%が通過するこの水域は、2月28日に米・イスラエルがイランへの大規模空爆を開始して以来、実質的に閉じたままだ。イランは「米・イスラエルの攻撃への報復」と説明している。

今回の攻撃回避報道を受け、原油価格は急落した。市場は「戦闘拡大リスクの後退」に素直に反応したかたちだが、海峡が開通したわけではない点には注意が要る。4月に成立した停戦合意は断続的な交戦こそ抑えているものの、イランの海峡支配は解除されていない。

停戦から数週間、交渉は「進んでいるようで止まっている」という印象だったが、今回の湾岸三カ国の介入で局面が動いた可能性はある。ただ、どんな「合意」を指しているのかの詳細は、現時点では明らかになっていない。イラン側もトランプ発言への公式コメントを出していない状況だ。

この先どうなる

最大の焦点は「イランが核開発を凍結する合意」がどこまで具体化するか、だろう。トランプ氏は「イランに核兵器は絶対に持たせない」と明言しており、それが交渉の最低ラインになっている。湾岸三カ国も核武装したイランは望まないから、仲介の方向性は一致している。

ただしイランには国内強硬派の圧力もあり、合意の中身次第では交渉が崩れるシナリオも十分ありえる。そうなればトランプ氏の「即時全面攻撃」警告が現実味を帯びてくる。ホルムズ海峡封鎖が続く限り、原油市場と世界経済へのじわじわとした影響も消えない。数日内に交渉の進捗が伝わるかどうか、そこが当面の見どころになりそうだ。