国連安保理の拒否権が、またガザの声を封じた。月曜日、米国は即時人道的停戦を求める安保理決議案に拒否権を行使。ガザ紛争が始まって以来、複数回目の「拒否」になる。賛成に回った141カ国の重みを、ワシントンは一票で消した格好だった。
141対1——国連総会が突きつけた数字
安保理で葬られた決議案は、すぐさま国連総会に舞台を移した。総会での採択に拘束力はない。それでも141カ国が賛成票を投じたという事実は、ひとつの圧力計として機能している。
中東全域でのエスカレーションリスクが高まる中、民間人の犠牲者数はどんどん積み上がっている。その数字が国際世論を動かし、総会の「圧倒的賛成」という光景をつくり出したと見るのが自然だろう。外交的な拘束力がなくても、141という数は無視しづらい。
「米国は月曜日、ガザにおける即時人道的停戦を求める国連安保理決議案に拒否権を行使し、多くの国から非難を浴びた。」――The Associated Press
AP通信が伝えたこの一文はシンプルだが、「多くの国から非難」という表現がじわりと効いてくる。同盟国を含む批判の声が広がっているのは、もはや隠しようがない状況になりつつあるらしい。
安保理改革論議、また火がついた
今回の拒否権行使で、改めて問われているのが安保理の設計そのものだ。5つの常任理事国が持つ拒否権は、冷戦時代の力学を反映したまま現代に残っている制度でもある。141カ国が賛成した決議を、たった一票で無効にできるこの仕組みは、本当に「国際社会の意思決定機関」と呼べるのか——そういう問いが今回また浮上してきた。
安保理改革の議論は過去にも何度も繰り返されてきたが、具体的な変化には至らなかった経緯がある。常任理事国が自らの権限を手放すメリットはほぼないからだ。それでも、ガザ停戦決議をめぐる今回の展開が、改革論議に新たな燃料を注いだのは間違いないんじゃないかという見方が出てきている。
この先どうなる
米国の孤立が深まれば、外交的コストは少しずつ積み上がっていく。ただ、安保理の拒否権という制度が短期間で変わる見通しは現実的には薄い。当面は総会決議という「象徴の積み重ね」が続く展開になりそうだ。ガザの民間人犠牲者数と国際世論の圧力がどこまで高まるか——それが次のターニングポイントを決める変数になってくる。安保理改革論議は再燃しても、実際に動くかどうかはまた別の話、というのが正直なところだろう。