ウクライナ ドローン攻撃がモスクワ郊外を深夜に直撃し、少なくとも3人が命を落とした。ロシア国営通信タスは「1年以上でモスクワへの最大規模の攻撃」と伝えており、戦争の激化を如実に映す夜だったといえる。

報告によれば、モスクワ北部のキムキ市では女性1人が死亡。ポゴレルキ村でも男女2人が犠牲となった。さらに気になったのがインド大使館の発表で、インド人男性1人が死亡し、3人が負傷したという事実だ。ウクライナとロシア、どちらの国民でもない第三国の人間が戦火に巻き込まれた——この一点が、今回の攻撃に別の重さを加えている。

ゼレンスキー「正当な報復」——キーウ24人死亡の直後に

ゼレンスキー大統領は今回の攻撃を「キーウへの致死的攻撃に対する、完全に正当な報復だ」と述べた。今週初め、ロシアの大規模なドローンとミサイルによる攻撃でキーウ市民24人が死亡しており、ウクライナ側にとってこの反撃は「対称的な応答」という位置づけらしい。

「ロシア国営通信タスは今回の攻撃を、1年以上で最大規模のモスクワへの攻撃と伝えた。」(BBC News報道より)

ただ、報復の応酬が「正当性の連鎖」になると、双方に歯止めが利かなくなる。キーウが攻撃されたからモスクワを攻撃する、モスクワが攻撃されたからキーウをまた攻撃する——この循環が今まさに起きているわけで、臨界点という表現が大げさに感じられなくなってきた。

インド人犠牲者が示す「距離ゼロ」の現実

ゼレンスキー報復宣言と並んで見落とせないのが、インド人死亡というファクトだ。インドはこれまでロシアとの関係を維持しながら、ウクライナ戦争で中立的な立場を取り続けてきた。その国の市民がモスクワ郊外で戦火に倒れたという皮肉は、外交的な中立が身の安全を保証しないことを示している。

キムキ インド人死亡の報を受け、インド大使館は声明を出したが、この犠牲者がロシア当局の公式集計に含まれているかどうかは現時点で不明だという。数字の問題というより、誰がカウントされ、誰がされないか——そこに各国の思惑が透けて見える気がした。

なお同夜、ウクライナ中部のドニプロペトロウシク州でもロシアのドローン攻撃と砲撃により8人が負傷している。攻撃と反撃は一晩の間に両国で同時並行で起きており、「戦場」と「後方」の境界がとっくに溶けていることがわかる。

この先どうなる

双方の報復連鎖が続く中、焦点になるのは停戦交渉の行方だろう。米国を含む仲介勢力が交渉を模索しているとされるが、攻撃規模が拡大するたびに「対話の余地」は狭まっていく傾向がある。インド人犠牲者という外交上の新変数が、インドをはじめとする第三国をどう動かすかも注目点だ。モスクワへの最大規模攻撃という記録が更新されたとき、次の一手がどちらから来るのか——しばらく目が離せない。