米中首脳会談が終わった瞬間、トランプ大統領が放った言葉は「fantastic trade deals」。だが二日間の北京協議で公式に確認された合意は、ボーイング機200機の購入だけだった。

ボーイング200機購入合意の「数字のカラクリ」

エアフォースワン機内で記者団に語ったトランプ氏によれば、中国は200機の購入に加え、最大750機の追加購入も「見込まれる」という。ボーイング社はこの合意を確認した。

「中国がボーイング機200機の購入に合意し、さらに最大750機の追加購入が見込まれると語った」(BBC報道、トランプ大統領のエアフォースワン機内発言より)

ただ、750機はあくまで「見通し」であり確約ではない。農業分野でも「米国の農家が喜ぶ成果がある」と示唆したが、詳細は明かされていない。数字の大きさが先行し、中身は後回しという構図がくっきり浮かぶ。

習近平が「歴史的」と称えた訪問、それでも関税交渉は動かず

今回の会談は演出の面では申し分なかった。習近平はトランプ氏を共産党指導部の専用施設に招き、儀仗隊・国宴・並走する車列と、外交的なもてなしをフル投入。トランプ氏も「非常に成功した」と応え、習氏を9月のホワイトハウスに招待した。習氏側も秋の訪問を受け入れ、中国外務省の王毅外相が正式に確認している。

しかし11月に失効が迫る関税休戦の延長については、両政府とも公式発表がなかった。ボーイング購入合意と農業分野の示唆で「成果があった」というナラティブを作りながら、貿易交渉の核心部分は棚上げされたままらしい。

今回の米中首脳会談に同行したのは農業・航空・EV・AIチップ分野にまたがる大手CEOたち。業界はボーイング購入合意以上の成果と、関税休戦延長を期待して北京に乗り込んだが、持ち帰れた確定情報はそう多くなかった。

この先どうなる

次の焦点は二つ。一つは11月の関税休戦期限で、延長か失効かで貿易環境が大きく変わる。両国とも具体的な数字を出さないまま時計の針は進んでおり、秋の習近平ホワイトハウス訪問がその決着の場になる可能性が高い。二つ目はボーイング追加発注の実現性で、750機という数字が実際の発注につながるのか、それとも交渉カードとして宙に浮いたままになるのかが注目される。温かい握手の写真の裏で、実務交渉はこれからが本番といったところか。