Nvidia中国輸出規制が、首脳会談を経ても一ミリも動いていない。トランプと習近平が顔を合わせた後、市場は「何か変わるかも」と期待したらしい。でも結果は空振り。世界最大のAIチップメーカーが最も巨大な市場の一つを失いかけているという現実は、外交の握手程度では動かないほど深いところに根を張っていた。

かつて売上高の20%超——その市場が今どうなっているか

数字を見ると話は早い。中国はかつてNvidiaにとって売上高の20%超を稼ぐ市場だった。H100などハイエンドチップへの規制が強まると、同社は中国向けに性能を落とした廉価版チップ「H20」を投入してきた。いわば規制の網をくぐり抜けるための抜け道として用意した製品だった。

ところが、そのH20すら規制対象に加わる可能性が浮上してきた。抜け道を塞ぐ動きが出てくるたびに、Nvidiaが打てる手は一つずつ減っていく格好になっている。ここが引っかかった点で、規制は「輸出を止める」というより「逃げ道を順番に封じていく」設計になっているんじゃないかと見えてくる。

ファーウェイ半導体への乗り換えが止まらない理由

一方、中国側も待ち続けているわけじゃない。ファーウェイ半導体を軸にした国産チップへの移行が急ピッチで進んでいる。

「中国企業は、西側技術への依存を減らす動きの中で、ファーウェイのような国内半導体メーカーへの転換を加速させている。」(The New York Times)

この動きが厄介なのは、規制が緩んだとしても「じゃあNvidiaに戻ろう」とすんなりならない可能性があることだ。サプライチェーンの切り替えにはコストと時間がかかる。一度国産チップに乗り換えたシステムを再び外資製に戻すインセンティブは、政治的にも技術的にも薄い。米中技術デカップリングは、外交で解けるシンプルな問題じゃなくなりつつある。

この先どうなる

短期的には、Nvidiaが中国向けに規制をクリアする新たな廉価チップを開発・申請するシナリオが続くだろう。ただ、米商務省がその都度ハードルを上げてくる展開が繰り返されてきた経緯を考えると、いたちごっこの色合いが濃い。

中長期で見ると、むしろ怖いのは市場の不可逆性だ。ファーウェイ半導体の性能が上がり、中国のAIインフラがそちらで固まっていけば、規制が解除された後でもNvidiaが戻れる席は残っていないかもしれない。米中技術デカップリングが「一時的な対立」ではなく「恒久的な分断」に変わる分岐点に、今まさに差しかかっているといえそうだ。Nvidiaにとっては、外交の結果を待つより先に、中国以外の市場をどれだけ伸ばせるかが問われる局面になってきた。