スーパーエルニーニョが、今秋にも来る——NOAAがそう警告したのは2026年5月のこと。熱帯太平洋の海面水温がここ数週間で急速に上昇し、すでにエルニーニョ判定の閾値である平年比0.5度超えを記録した。「今冬までに強いエルニーニョへ発展する確率は3分の2」とNOAAは明言しており、2027年が観測史上最も暑い年になる可能性が現実の話として浮上してきた。
ラニーニャから1年以内の転換——NOAAが「きわめて稀」と認めた理由
去年の冬まで太平洋は逆にラニーニャ状態、つまり海面水温が平年より低い冷却期にあった。それがわずか1年以内に強エルニーニョへ転換するというのは、過去の気象記録を振り返っても珍しいケースらしい。
NOAAの気象学者ナサニエル・ジョンソンはこのペースの温暖化を「rare occurrence(きわめて稀な事象)」と表現している。春季の予測は歴史的に精度が低いとされてきたが、今年は各機関の確信度が例年を大きく上回っているのがここで引っかかるところだ。
「新たな予測は、熱帯太平洋で発達しつつあるエルニーニョが観測史上最強クラスとなる可能性への確信を強めており、記録的な世界気温と甚大な人道的影響について警告が発せられている。」(BBC Weather / Simon King, 2026年5月14日)
オーストラリア気象局(BoM)はNOAAよりも厳しい基準を採用していて、海面水温が平年比0.8度超えに加え、西太平洋の貿易風の逆転——海洋が大気に影響を与え始めたサインも確認された段階で正式認定となる。そちらはまだ独自監視を継続中だ。
2027年「観測史上最高気温」シナリオ——世界の気象はどう動くか
監視対象となっているのは「ニーニョ3.4」と呼ばれる太平洋の特定海域。ここの3カ月平均水温を長期平均と比較することで強度を判断する仕組みで、過去最強クラスだった1997〜98年や2015〜16年と同等か、それ以上の規模になる可能性がある。
エルニーニョが強まると、日本を含むアジアでの猛暑・干ばつ、中南米での洪水、アフリカ・オーストラリアの食料生産への打撃が同時多発的に起きやすくなる。「人道的影響」という言葉をBBCも使っているのは、単なる気温記録の更新に留まらない問題だからじゃないかと思う。NOAA 2026予測が「衝撃的」とされる所以はそこにある。
この先どうなる
今後数カ月の監視ポイントは二つ。ひとつは西太平洋の貿易風が本格的に逆転するかどうか——これがオーストラリア気象局の正式認定トリガーになる。もうひとつは秋以降のピーク強度で、現在のモデル予測ではNOAO・ECMWF・BoMのいずれも「強〜超強」に収束しつつある状況だ。
2027年の最高気温更新という話は、まだ「確定」ではなくあくまで可能性の話。ただ、これだけ複数機関の予測が同じ方向を向いているのは珍しく、今夏から秋にかけての太平洋の動きが文字通り世界の気候を左右することになりそうだ。