レバノン停戦延長が合意された日、南部では空爆で22人が命を落とした。うち8人は子どもだった。米国務省がワシントンDCでの2日間交渉の結果として発表した「45日延長」は、4月16日のトランプ停戦宣言からすでに続いていた綱渡りの、さらなる綱渡りにすぎない。

停戦中に22人死亡——合意書に意味はあるか

レバノン保健省の発表によれば、水曜日だけで南部への空爆により22人が死亡。保健省はこのうち民間人や救急隊員が含まれると指摘したが、イスラエル軍はヒズボラ戦闘員およびインフラを標的にしたと否定している。停戦が名目上続いている間も、双方の交戦はほぼ毎日報告されてきた。合意書の署名と現地の現実が、これだけ乖離しているのは珍しくない話ではあるが、改めて数字を並べると重い。

「今回の協議が、両国間の恒久的平和、互いの主権と領土的一体性の完全な承認、そして共有国境沿いの真の安全保障の確立へと前進することを希望する」——米国務省報道官 トミー・ピゴット

「希望する」という言葉が三度繰り返される声明文。確約ではなく、願望として読んだほうが正直なところだろう。イスラエル大使レイターは協議を「率直かつ建設的」と表現し、レバノンのナワフ・サラム首相はアラブ・国際社会の支持結集を誓った。ただ双方の「建設的な対話」は、今に始まった話じゃない。

5月29日ペンタゴン——軍同士が初めて向き合う

今回の合意で注目すべき点があるとすれば、5月29日にペンタゴンで開かれる安全保障協議の新設だ。両国の軍事代表団が直接テーブルを囲む枠組みは、これまでなかった。ペンタゴン安全保障交渉という場の重さは、政治協議とは別のレイヤーにある。軍が軍と話す、その事実自体が一定のシグナルになりうる。

さらに6月には政治協議が再招集される予定で、停戦交渉のカレンダーは少なくとも夏まで埋まった格好。ナワフ・サラム首相が国際社会への根回しを急ぐのは、ペンタゴン協議の前に外堀を固めておきたいからとみていい。

この先どうなる

5月29日のペンタゴン協議が最初の試金石になる。軍レベルの協議が具体的な国境管理の合意に結びつくかどうか、ここで判断材料が出てくるはずだ。6月の政治協議と組み合わせれば、45日延長の期限が切れる前に何らかの枠組みが見えてくる可能性はある。ただ、毎週のように死者が出ている現状で「枠組み」がどこまで機能するかは、正直読みにくい。次の45日、注視するしかない。