ファーウェイ関連の半導体施設が、米国防総省からわずか1マイル先に存在していた——ロイターが複数の政府関係者の証言をもとに報じたこの事実は、情報コミュニティに静かな衝撃を走らせている。場所はバージニア州。ペンタゴンが見える距離、といっても過言ではない。
「なぜ今まで誰も止めなかったのか」が本当の問い
ファーウェイは2019年に米商務省のエンティティリストへ掲載され、安全保障上の脅威企業として指定済み。それでもなお、その関連施設がペンタゴン至近に存在し続けていたとすれば、見落としではなく、見過ごしだった可能性がある。
米政府内部で今、「なぜ長期間、無警戒だったか」という検証が始まろうとしているらしい。対敵諜報調査は通常、外国政府や敵対勢力による情報収集活動を突き止めるための手続きで、民事・刑事双方の展開がありうる。今回の判断は、その第一段階に踏み込むものとみられている。
「事情に詳しい複数の関係者によると、米政府は国防総省から1マイル以内に位置するバージニア州のファーウェイ関連半導体施設に対し、対敵諜報調査を開始する準備を進めていると報じられた。」(Reuters、関係者証言より)
気になるのは施設の「機能」だ。半導体の設計・製造に関わる拠点であれば、チップのアーキテクチャや軍事転用可能なプロセス技術が、文字通り歩いて届く距離に存在していたことになる。電波傍受や物理的な情報収集のリスクを考えると、立地そのものが問題視されるのは自然な流れだった。
米中 技術覇権の戦場がバージニアにも広がっていた
米中の技術覇権争いはこれまで、輸出規制や投資審査、関税といった「制度の戦い」として語られることが多かった。だが今回の件は、物理的な拠点の近接性というリアルな次元で問題が顕在化したケースとして異色だろう。
半導体は現代の軍事インフラの基盤を支えている。誘導システム、通信暗号、無人機の制御——どれもチップなしには動かない。その製造・設計情報の漏洩リスクが、安全保障の重心を一気に動かしうる。今回の対敵諜報調査 バージニアという動きは、そこへの現実的な対応の始まりとも読める。
ファーウェイ側は現時点で公式なコメントを出していない。施設との具体的な関係性についても、調査の進展を待たなければ全体像は見えてこない。
この先どうなる
対敵諜報調査が正式に立件されれば、施設の閉鎖命令や関係者の追放措置、さらには新たな立法——ペンタゴン周辺の「安全保障バッファゾーン規制」のような話が浮上してくる可能性がある。米議会はすでにファーウェイ製品の政府調達禁止などを進めてきたが、今回の件が「物理的な近接」まで規制対象に広げる契機になるかもしれない。米中 技術覇権をめぐる綱引きは、制度と地理の両面で同時進行している。調査の行方次第では、バイデン政権が退任前に強硬措置を打ち出す可能性も、ゼロではないんじゃないか。