キーウ空爆が集合住宅を直撃した、その同じ日に、両国は200名超の捕虜を交換していた。爆撃と交渉が同時進行する――これが今のウクライナ戦争の現実らしい。

12歳のリュババ、瓦礫の下で

ロシア軍のミサイルはキーウ南東部・ダルニツキー区の9階建て集合住宅を直撃し、18世帯分を一瞬で瓦礫に変えた。28時間に及ぶ救助活動の末に確認された死者は24名。3名の少女も含まれていた。

最年少は12歳のリュババ・ヤコブレワ。父はすでに戦争で亡くしていた。地元の学校のFacebookページには彼女の写真が残っている。笑顔の子どもが写っていた、というのが引っかかった。

「ロシアとウクライナは金曜日、キーウの破壊された集合住宅の捜索が終了した数時間後に、205名の捕虜を交換した。この攻撃では3名の少女を含む24名が死亡した。」(BBC News)

宅配便大手ノバ・ポシュタの従業員2名も犠牲になったと報じられており、市民生活の真ん中が狙われた形だった。キーウ市は金曜日を公式の追悼日に指定した。

205名交換、1000名規模へ「第一段階」

ウクライナ捕虜交換が成立したのは、その爆撃から数時間後のこと。ゼレンスキー大統領によれば、帰還した兵士の大半は2022年から拘束されており、中には3年近く収容されていた兵士もいたとみられる。

今回の交換は「双方各1,000名規模」を目標とする取り組みの第一段階と位置づけられている。短期停戦が終了し大規模攻撃が再開された直後のタイミングで、交換だけは予定通り実行されたことになる。外交ラインがかろうじて生きている、という見方もできるし、見せ場だけ演じているとも取れる。

一方でウクライナ側も動いていた。軍のドローンがモスクワ南東のリャザン市を攻撃。ロシア側の発表では子ども1名を含む4名が死亡、28名が負傷した。ウクライナのドローン指揮官はリャザン製油所攻撃への命中を主張しており、ロシア最大級の製油所が標的になったとすれば、エネルギー関連施設への圧力という戦略的な意図がにじむ。

この先どうなる

第一段階のウクライナ捕虜交換が完了した以上、次の1,000名規模という目標に向けた交渉が続くかどうかが焦点になる。ただ、キーウへの攻撃が止まらない中で協議が維持できるかは未知数だ。リャザン製油所攻撃が確認されれば、ロシア国内向けの燃料供給や世論にも影響が出る可能性がある。民間人の死傷が双方で積み重なるほど、停戦交渉のテーブルは遠ざかる。それでも捕虜交換だけは続いている――この矛盾が、この戦争のどこへ向かっているかを示しているんじゃないかと思う。