レバノン南部空爆で、子どもを含む12人が1日で命を落とした。舞台はベイルートからわずか20キロ南の沿岸高速道路。ドローンが民間車両を直接狙い、炎上した車の残骸が道路に散らばった。
7ヶ所・12人死亡――民間車両を狙ったドローン攻撃の詳細
レバノン保健省の発表によれば、イスラエル軍のドローンはバルジャ、ジイェ、サアディヤートの各地点で車両3台を攻撃し、子ども2人を含む8人が死亡した。さらに南のサイダ(シドン)、マアリイェ、シャーイティイェ、ナクーラでも別の車4台が標的となり、残る4人が犠牲になっている。
イスラエル軍は民間車両への攻撃については公式にコメントしていないが、「レバノン南部各地でヒズボラのインフラを攻撃した」とは認めている。一方ヒズボラ側も、イスラエル軍が活動する地区の近くでドローンを爆発させたと発表しており、双方が「相手が先にやった」という構図はいつも通りだった。
「トランプ米大統領が停戦を発表してから約1ヶ月で、レバノン全土で400人以上が死亡したとされている。」(BBC News)
この数字がじわりと効いてくる。停戦は「名目上は存在する」らしい。火曜日にはレバノン市民防衛隊の救急隊員2人を含む13人が死亡しており、イスラエル側も砲撃・空爆のペースを落とす気配がない。
停戦合意の1ヶ月後に死者400人超――「停戦」という言葉が空洞化している
ここが引っかかったところで、今回の一連の攻撃はイスラエルがここ数日で南部への空爆と砲撃を「むしろ強化している」タイミングで起きている。イスラエル側の説明は「ヒズボラ戦闘員とインフラを標的にしている」の一点張りだが、攻撃を受けているのが沿岸高速道路を走る民間車両というのは、イスラエルとレバノンの停戦違反をめぐる議論をさらに複雑にする。
ヒズボラ側はドローンや迫撃砲で応戦しており、レバノン南部に展開するイスラエル軍占領地帯と北イスラエルの集落を攻撃し続けている。互いに「相手が先に破った」と言い張る中、死ぬのはいつも現場にいる人たちだった、というのが今の実態に近い。
この先どうなる
木曜日にはイスラエルとレバノンの当局者が直接協議に臨む予定とされている。攻撃が続く中でも交渉テーブルだけは設置されるという、奇妙な二重構造が続く見通しだ。ただ、400人超という死者数は停戦合意の信頼性に対する国際的な疑問をいよいよ無視できないレベルに押し上げており、米国がどこまで圧力をかけるかが当面の焦点になりそう。イスラエルが攻撃の手を緩めない限り、木曜の協議が「形式」で終わる可能性は低くない。
