ホルムズ海峡封鎖に、中国籍スーパータンカーが正面から突入を試みている──Bloombergが2025年5月13日付で報じた内容は、想像していたより具体的だった。阻止に立つのはUSSラファエル・ペラルタ。世界の原油輸送量のおよそ20%が通過するこの海峡で、今まさに「どちらが引くか」というテストが行われようとしている。
USSラファエル・ペラルタが「実力行使」で待ち構える理由
米海軍は現在、ホルムズ海峡を通過しようとする船舶を物理的に阻止する態勢を維持している。その中心がアーレイ・バーク級駆逐艦USSラファエル・ペラルタだ。イランへの制裁や軍事的圧力の一環として設けられたこの封鎖網は、当初から中国船籍との衝突リスクが指摘されていた。
北京にとってホルムズは生命線に近い。中国はイランからの原油を含め、中東産石油の多くをこのルートで調達してきた。封鎖を黙って受け入れれば、国内のエネルギー供給に直結する問題になりかねない。だから今回の「単独突入」は無謀に見えて、北京なりの計算があるんじゃないかとも読める。
「USSラファエル・ペラルタが、ホルムズ海峡を通過しようとするタンカーに対して海上封鎖を実施している。」(Bloomberg、2025年5月13日)
問題は、米側がどこまで「実力行使」を貫くかだ。中国船籍のタンカーを物理的に拿捕または撃沈した場合、それは二国間の外交問題を超える。原油市場はすでに緊張を織り込んで動き始めているともいわれており、今回の衝突がどう決着するかは価格指標にも跳ね返ってくる。
中国スーパータンカー「1隻の賭け」が開けてしまう扉
興味深いのは、今回が単独行動という点だ。中国海軍の護衛なし、外交的事前通告なし──そうした形で民間タンカーが封鎖線に近づくというのは、「責任の所在を曖昧にしたまま既成事実を積み上げる」という手法に見えなくもない。
過去にも似た構図はあった。南シナ海での漁船や調査船を使った「グレーゾーン戦術」と重なって見える。直接の軍事衝突は避けつつ、相手の出方を探る。それが今回、原油タンカーという形で現れた可能性がある。
一方、中国スーパータンカーが無事に通過を果たした場合、封鎖の実効性への疑問が一気に広がる。米軍が「撃てない」と判断すれば、続々と追随する船が出てくるシナリオも否定できない。
この先どうなる
最も可能性が高いのは、米軍が物理的拿捕や攻撃ではなく、「追尾・警告・圧力」で引き返させようとするシナリオだろう。中国側も正面衝突は望んでいないとすれば、タンカーが最終的に引き返す「双方が傷つかない落としどころ」が模索されるかもしれない。
ただ、それで終わらない可能性もある。北京が「引いた」と国内に映れば、習近平政権への圧力が増す。逆に強行突破すれば米中の直接摩擦は新しい段階に入る。今回のスーパータンカーは、その踏み絵として使われている。次の48時間で、ホルムズをめぐるゲームのルールが書き換わるかもしれない。