Nvidia対中輸出規制が世界の注目を集める中、予想外の場所から火花が散った。トランプ大統領がTruth Socialに緊急投稿し、CNBCが流したニュースを「完全に虚偽」と切り捨てたのだ。問題の報道はNvidiaのCEO、ジェンセン・ファン(黄仁勲)氏が中国ビジネス代表団に招待されなかった、というもの。ところが、トランプ側の言い分はまったく逆だった。
CNBCが報じた「不招待」、トランプが即座に否定した理由
Truth Socialへの投稿は短く、そして直球だった。
「CNBCは、NvidiaのジェンセンHuangが中国ビジネス代表団に招待されなかったと誤って報じた。これは完全に虚偽だ。」
— Donald J. Trump
トランプ政権がわざわざメディアの報道一本を名指しで否定するのは珍しくない。ただ今回、否定された側が「ジェンセン・ファン」という名前だったことで話は変わってくる。ファン氏はここ数年、米中双方のテック業界で誰よりも微妙な立場に置かれてきた人物だ。Nvidiaの高性能AIチップは米国の輸出規制リストに繰り返し追加され、中国市場向けには何度もダウングレード版を投入してきた経緯がある。そのトップが、米政府公認の代表団の一員として北京へ向かうとなれば――単なるビジネス出張では済まない空気がある。
ジェンセン・ファン中国訪問が「地政学カード」になるまでの経緯
ファン氏はもともと、米中どちらのマーケットも切り捨てたくないと繰り返してきた経営者だ。中国はNvidiaにとって数年前まで売上の20〜25%を占めていた巨大市場で、輸出規制が強化されるたびに株価が揺れた。一方で米政府の規制に正面から逆らうわけにもいかない。そのバランスが、ファン氏を半導体業界で最も「読まれる」経営者にした。
そこへ今回の代表団同行話が浮上した。米政府公認ならば、ある意味「お墨付き」を得た訪中ということになる。中国側にしても、Nvidiaのトップが来るなら歓迎する理由はある。AIインフラの整備に高性能チップが不可欠な現実は、規制があろうとなかろうと変わらないからだ。ジェンセン・ファン中国訪問は、そういった実利と政治的シグナルが重なる場面として機能しうる。
この先どうなる
CNBCの誤報騒動は数時間で収束するかもしれないが、その後ろにある問いはそう簡単に消えない。ファン氏が実際に北京へ飛んだとき、米国内の強硬派がどう反応するか。Nvidia対中輸出規制の枠組みが、代表団外交によって少しでも動くのか。チップ一枚が地政学の駒になる時代、その答えは発表より先に株価が示すことになるかもしれない。