米国CPI 3.8%——この数字が出た瞬間、ウォール街のトレーダーたちは利下げトレードを一斉に手仕舞いし始めたらしい。米労働統計局が発表した4月の消費者物価指数は前年比3.8%上昇。2022年5月以来、約3年ぶりの高水準だった。3月の3.3%からわずか1か月で0.5ポイント跳ね上がった速度感が、ちょっと尋常じゃない。
ガソリン4.50ドル——2022年夏以来の水準に何が起きているか
上昇分のほぼ半分を占めたのがエネルギーコスト。その源流をたどると、ホルムズ海峡封鎖 原油高という一本の線が浮かび上がる。イラン戦争の余波で事実上閉鎖状態にある同海峡は、世界の原油輸送量の約2割が通過する大動脈だ。その詰まりが米国内のガソリン価格を直撃した。AAA(米モータリスト協会)のデータによれば、全米の無鉛ガソリン平均価格は1ガロン4.50ドル——2022年7月以来の最高値を記録している。
食料品と住宅コストも値上がりに加わった。航空運賃や衣料品も上昇した一方、新車価格はわずかに下落。ただ、庶民の日常に刺さるのはやはりガソリンと食料品の値段だろう。
「ガソリンと食料品の価格急騰が消費者物価指数(CPI)を過去12か月で3.8%上昇させた。これは3年前にインフレが4%に達して以来の最高水準である。米労働統計局は、上昇分のほぼ半分がエネルギーコストの急騰によって引き起こされたと発表した。」(BBC News / 米労働統計局)
FRB利下げ2025年はほぼ終わった——トランプ政権の公約にも赤信号
問題はここからで、このインフレ数字がFRBの手を縛っていく。FRB利下げ 2025年を期待していた市場参加者にとって、3.8%という数字はほぼ引導を渡すものに近い。パウエル議長率いるFRBは「データ次第」という姿勢を崩していないが、インフレが再加速している局面で利下げに踏み切れる余地は、現実問題としてほとんど残っていない。
政治的にも状況は複雑だ。トランプ大統領は2024年の再選キャンペーンで「物価を下げる」と繰り返し約束してきた。それが今、ホルムズ海峡封鎖 原油高というイラン戦争の副産物によって足元から崩れ始めた格好。11月の中間選挙まで半年を切ったタイミングで、インフレ再燃は共和党にとって最も扱いにくいリスクになりつつある。
この先どうなる
当面の焦点は2つ。ホルムズ海峡の供給制約がいつ緩和されるか、そしてFRBが次回のFOMCでどんなシグナルを出すか。海峡封鎖が長引けば、エネルギー起点のインフレは食料品・物流コストを通じて第2波、第3波と波及していく。米国CPI 3.8%は通過点に過ぎず、4%台を視野に入れるシナリオも消えていない。利下げ待ちで積み上がったポジションの調整は、まだ始まったばかりかもしれない。