ラマポーザ南アフリカ大統領は月曜日、弾劾手続きへの圧力を跳ね返し「辞任しない」と明言した。農場の家具の中から盗まれた大金、その隠蔽への関与疑惑——いわゆるファラファラスキャンダルが発端だが、大統領が選んだ次の一手は退場でも沈黙でもなく、法廷だった。
ファラファラ農場で何が起きていたのか
事件の舞台はラマポーザ大統領が所有するゲーム農場「ファラファラ」。そこの家具の中に大量の現金が隠されており、それが何者かに盗まれた——という話がそもそもの発端だ。
問題は盗難そのものより、その後の対応にある。独立調査パネルは、大統領が事件の処理において重大な非行を犯した可能性を示す「表見的証拠(prima facie evidence)」があると認定した。大統領側は「現金はバッファローの正当な売却益」と説明し、一貫して不正行為を否定している。
このスキャンダルは2022年に一度、議会の弾劾調査設置の否決という形で幕引きが図られた。しかし先週、南アフリカ憲法裁判所がその否決自体を「違憲」と裁定し、手続きを差し戻したことで事態が再燃した。
「報告書を無効にする」——大統領の法廷戦術
辞任要求を退けたラマポーザが打ち出したのは、弾劾の根拠となる独立調査報告書そのものを裁判所に取り消させる申請だ。報告書は「伝聞証拠に依拠している」というのが大統領側の主張である。
「私はここに留まり、辞任しない」
この一言で、数日間続いた退任観測は一気に吹き飛んだ。
政治アナリストのリチャード・カランド教授は、議会採決ではラマポーザが生き残る公算が高いと見ている。ただ同時に、法廷申請には別の狙いもある可能性を指摘している——仮に弾劾審問が始まれば、勝敗にかかわらず大統領の評判と政治的遺産に深刻なダメージを与えかねない。審問そのものを潰すことが、最大の防御策になるという読み方だ。
南アフリカ弾劾の手続きは、独立調査報告書を土台に野党が主導する形で進む設計になっている。報告書が裁判所に退けられれば、手続き全体が宙に浮く可能性もある。
この先どうなる
焦点は二つ。ラマポーザが申請した「報告書取り消し訴訟」で裁判所がどう判断するか、そして仮に棄却されたとき議会が実際に弾劾審問を設置するかどうかだ。与党ANCが議会過半数を握る構図は変わっておらず、純粋な数の論理では大統領が生き残る余地はある。ただ法廷で敗れれば政治的打撃は免れない。ファラファラスキャンダルをめぐる攻防はしばらく、法廷と議会の二正面で続きそうだ。