レバノン空爆で、救助活動中の救急隊員が標的にされた。現地時間火曜日午後、南部ナバティエで活動中だったフセイン・ジャベルとアフマド・ヌーラの2人——国営レバノン市民防衛の隊員——がイスラエルの攻撃を受けて死亡した。ただ爆発に巻き込まれたのではない。2人は直前の攻撃への救助活動中だった、というところが引っかかる。
「108人」という数字が示す現実
レバノン保健省が月曜日に公表した数字がある。戦争開始以降、医療従事者・救急隊員の死者はすでに108人。救急車や医療施設への攻撃は140件を超えた。今回の2人はその数字にまた積み上がった形になる。
同省は意図的な標的化だと断じ、こう述べた。
「この標的化は、イスラエル軍による国際人道法の露骨な違反と、すべての国際規範への完全な無視の、さらなる証拠である」
国際人道法では、医療従事者や救急車への攻撃は明確に禁じられている。それが繰り返されているとすれば、「違反」という言葉では追いつかない話になってくる。イスラエル軍は「報告を調査中」と述べるにとどまった。
停戦合意はどこへ 大統領も「平和回復の妨害」と声明
レバノン大統領ジョゼフ・アウンは、2人の死に「悲しみと遺憾」を表明しつつ、「継続するイスラエルの攻撃が平和回復の努力を妨げている」と指摘した。停戦合意が存在する中で空爆が続いているという状況、そこへの言及に聞こえる。
この日の一連の空爆では他にも、カファル・ドゥニーンで民家への夜間攻撃により6人が死亡・7人が負傷。タイル・デッバ周辺ではシリア人男性がドローン攻撃で死亡した。この日だけで少なくとも10人が死亡したことになる。
この先どうなる
停戦合意が形骸化しつつある中で、医療インフラへの攻撃が積み重なっていけば、国際社会からの圧力は高まらざるをえない。国連や人権団体が「国際人道法違反」として調査を求める声を上げる展開は、ほぼ確実だろう。ただ過去の経緯を見ると、調査が始まっても現場の状況が変わるまでにはかなりの時間がかかってきた。レバノン政府としては、累計108人という数字を国際社会に突きつけることで、外交的な圧力を維持しようとするはず。それが実際に機能するかどうかは、また別の話だが。