トランプ報道弾圧の文脈で、これほど直接的な言葉が出てきたのは初めてかもしれない。Truth Socialに投稿されたその一文は短く、しかし重かった。「フェイクニュース」がイランという敵を軍事的に優勢だと報じるとき、それは「事実上の反逆罪(virtual Treason)」だ――。法的拘束力のある告発ではなく、あくまでSNS投稿。それでも米メディアが一斉に反応したのには理由がある。

「反逆罪」という言葉を記者に向けた重み

歴史を振り返ると、権力者が報道機関を「国家への裏切り」と名指しした局面の後、何らかのメディア規制が続いてきたケースは少なくない。今回の投稿が怖いのは、内容よりも言語選択だったりする。「批判的報道」でも「偏向報道」でもなく、あえて「反逆罪」という刑事的文脈の単語を選んでいる点。これが意図的でないとしたら、むしろ不自然だろう。

「『フェイクニュース』がイランという敵が軍事的に我々に対して優勢だと報じるとき、それは事実上の反逆罪だ。」― Donald J. Trump(Truth Social)

修正第一条が保障する報道の自由は、戦時下でも原則として適用される。ただし「原則として」という但し書きが曲者で、スパイ法(Espionage Act)などは報道機関にも適用され得る余地を残している。今回はまだ「投稿」の段階だが、フェイクニュース反逆罪という組み合わせが公式言語として定着すれば、萎縮効果(chilling effect)が静かに報道室に広がる可能性がある。

支持層と批判層で「同じ事実」がまるで別物に見える理由

トランプ支持層の論理は一定の説得力を持っている。「敵国を利する報道は戦場に影響する」という主張は、第二次大戦中の検閲論争でも繰り返されてきた古典的な問いだ。情報戦が実戦と並走する現代では、その議論はより複雑になっている。

一方で批判側が指摘するのは、「誰が何をフェイクと決めるのか」という問題。イランとの軍事バランスに関する報道が「敵を利する」かどうかの判断を政権側が独占するなら、不都合な事実はすべて反逆罪候補になりうる。戦時下の報道規制が怖いのは、開幕がわかりにくいところにある。

この先どうなる

直近でイランとの緊張が緩和に向かわない限り、この種の投稿は続くとみていい。問題はそれが「投稿」から「政策」に変化するタイミングで、司法省や連邦通信委員会(FCC)が動くかどうかが一つの分岐点になりそう。修正第一条をめぐる訴訟が相次ぐシナリオも排除できない。メディア側がどこまで踏み込んだ報道を続けられるか、その胆力が問われる局面に入ってきた。