ブビヤン島に着弾したのは、イラン製ドローンとロケット弾——しかも標的は中国が出資する港湾施設だったという。クウェート政府が強い遺憾を表明し、外交ルートで抗議したとAPが報じた。攻撃が事実なら、テヘランはクウェートだけでなく、北京の経済権益にも直接砲火を向けたことになる。

ブビヤン島とは何か——中国マネーが注ぎ込まれた湾岸の要衝

ブビヤン島はイラクとの国境にほど近いペルシャ湾最北部に位置する。クウェートが「湾岸の物流ハブ」として整備を進めてきた戦略的な拠点で、中国の投資が深く入り込んでいる港湾施設が稼働中だ。

一帯一路の文脈で押さえておくと分かりやすい。中国はホルムズ海峡を挟む湾岸諸国の港湾インフラに積極的に出資しており、ブビヤン島もその一つ。原油の輸送ルートを押さえる意味でも、北京にとって看過できない投資先だった。

「クウェートはペルシャ湾内の島——中国が出資する港湾施設が立地するブビヤン島——がイランのドローンとロケット弾で攻撃されたと主張した。」(AP通信)

それがイラン製の兵器に狙われたとすれば、話はクウェートとイランの二国間摩擦に収まらなくなる。北京が黙って見ていられるかどうか、そこが次の焦点になりそうだった。

テヘランが「中国の港」を撃つ——イランドローン攻撃が示す三つ巴の亀裂

イランはこれまでも湾岸各地でドローン・ロケット攻撃の関与を疑われてきた。ただ今回は少し毛色が違う。中国は近年、イランとの経済・外交関係を強化しており、25年協力協定を結んだ間柄でもある。その北京が出資する施設に着弾したとなれば、テヘランとしても意図の説明が求められる局面だ。

ホルムズ海峡周辺では、米海軍の抑止力・中国の港湾投資・イランの影響圏という三つのベクトルが常に緊張関係にある。イランが意図的にブビヤン島を選んだのか、それとも誤射や代理勢力による暴走なのか——現時点ではっきりしない部分が多い。クウェート政府が「外交ルートでの抗議」という表現にとどめたのも、断定を避ける慎重さに見えた。

一方でクウェートのイランドローン攻撃への対応が手ぬるいと映れば、湾岸協力会議(GCC)内で「なぜクウェートだけ抑止できないのか」という批判が出かねない。中国港湾投資を抱える国々がそれぞれ自国の立場でこの事件を読み始めるだろう。

この先どうなる

最初に動くのはおそらく北京だろうという見方が多い。自国の投資拠点が攻撃されたとなれば、外交的な抗議なり釈明要求なりをテヘランに向けざるを得ない。そこでイランがどう応じるか——「関与していない」と言い切るのか、代理勢力に責任を押しつけるのかで、中イラン関係のひびの深さが透けて見えてくる。

米国側はこの動きを当然注視している。ホルムズ近海の中国インフラへの攻撃は、対イラン圧力の文脈でも、対中牽制の文脈でも使えるカードになりうる。クウェートへの追加安全保障支援を申し出る形で湾岸への関与を深める展開も、あり得なくはない。

ブビヤン島の港がどこまで損傷しているか、現地からの詳報がまだ少ない。ここ数日の続報で、この攻撃が「偶発的な一発」なのか「計算された一手」なのかが、もう少し見えてくるはずだ。