IEEPA関税違法——連邦通商裁判所がそう認定した日付は2026年5月10日。数ヶ月前に最高裁が別の関税措置を無効にしたばかりで、トランプ政権は司法に2連敗を喫した格好になった。

緊急経済権限法(IEEPA)で関税は打てるのか、裁判所が疑問符

トランプ政権が10%の一律関税を発動した根拠が、緊急経済権限法(IEEPA)だった。本来は国家安全保障上の緊急事態に使う法律で、通商政策の道具として行政府が持ち出せるかどうか——そこに裁判所が「待った」をかけた。

連邦通商裁判所の判断を受け、Bloombergは「政権の経済アジェンダへの新たな打撃」と表現している。

「トランプ大統領の10%のグローバル関税が連邦通商裁判所によって違法と認定された。これは政権の経済アジェンダに対する新たな打撃であり、米最高裁が以前の課税を無効とした数ヶ月後のことである。」(Bloomberg, 2026年5月10日)

IEEPAは大統領に広範な経済制裁権限を与える法律だが、「関税を課す」権限が明示されているわけではない。行政府が「解釈」で拡張してきた部分を、司法が今回も認めなかった——というのが大筋の流れだろう。

10%という数字が持つ重さ、輸入物価から企業投資まで連鎖

全世界に一律でかかる10%の関税は、単なる税率の話ではない。輸入原材料のコストが上がれば、製造業の投資判断が変わる。店頭価格が上がれば、消費者の購買行動が変わる。グローバルサプライチェーンに刷り込まれた「10%」という数字の影響は、裁判所の判決が出ても即座には消えない。

企業側からすれば、関税が撤回されるかどうかわからないまま設備投資や調達先の見直しを続けるしかない状況。この「不確実性」こそが、実体経済へのダメージとして積み上がっていくらしい。

連邦通商裁判所の今回の判断は、司法審査という観点では明快だ。ただ、判決が出ても関税が即日停止されるとは限らない。政権が上訴すれば効力が維持される可能性もあるし、大統領令で別の根拠を探してくる展開も十分ありうる。

この先どうなる

焦点は「政権が引くかどうか」に移っている。最高裁、連邦通商裁判所と2度にわたって司法に否定された今、トランプ政権が上訴を続けながら関税を維持するのか、あるいは議会が新たな立法で関税の根拠を整備しようとするのか——どちらの道も選択肢にある。

ただ、上訴を続けるほど「司法 vs. 行政」の綱引きが長引き、世界の貿易相手国にとっては「この関税はいつなくなるのかわからない」という状態が続く。市場はそのリスクプレミアムをどこかに織り込んでいくことになる。2連敗しても強行を続けるなら、それはそれで一つの政治的メッセージになるわけで、次の一手が出るまでは目が離せない局面だ。