アル・シファ病院の保育器が止まったのは、燃料が尽きた直後だったらしい。APの報道によれば、ガザ最大級のこの医療施設は完全停電に陥り、少なくとも新生児3人が命を落とした。手術室には電気がなく、医師たちはその暗闇の中で患者と向き合い続けた——そういう話だ。
保育器3台が沈黙するまで、病院に何が起きていたか
病院周辺では地上戦が激化していた。燃料の搬入ルートは事実上遮断され、自家発電機も動かせなくなった。人工呼吸器に頼る重篤患者、保育器の中の早産児——電力なしでは数時間も持たない命が、同じ建物に何十人もいた。
ガザ医療危機はこの数週間で急速に悪化している。国連は状況を「壊滅的」と表現したと伝えられており、病院スタッフは医薬品・水・食料のすべてが底をつきかけていると訴えていた。
「ガザのシファ病院が電力を失い、周辺で戦闘が激化する中、少なくとも新生児3人が死亡した。」(AP通信)
ここで引っかかるのが国際人道法の話だ。ジュネーブ条約の追加議定書は医療施設への攻撃を明確に禁じている。ただし「禁じている」と「守られている」は別の話で、今回のケースが直接攻撃によるものか、包囲による間接的な影響なのかは、現時点で確認が取れていない部分もある。
「戦場の病院」という矛盾——国際人道法が問われるケース
病院が戦闘の影響を受けるパターンは、大きく三つに分かれる。施設への直接攻撃、周辺戦闘による機能停止、そして包囲による補給遮断——今回は二番目と三番目が重なった形に見える。
イスラエル側はアル・シファ病院の地下にハマスの指揮拠点があると主張してきた。一方、病院側やWHOはその主張を否定している。この「二重利用」をめぐる論争が、法的・政治的な責任の所在をあいまいにし続けてきた経緯がある。
ガザ医療危機の中で亡くなった新生児3人は、その論争が決着する前に逝った。
この先どうなる
国際社会の圧力が燃料搬入の人道回廊につながるかどうか、これが当面の焦点になるとみられる。国連や赤十字は即時の人道アクセス確保を求めているが、戦闘が続く限り実現は難しいのが現実だ。アル・シファ病院以外にも、ガザ北部の複数の病院が同様の停電リスクに直面しているとも報告されており、今後さらに被害が拡大する可能性は低くない。世界各国がこの問題をどう取り上げ、外交的圧力に変換できるか——そこが分岐点になりそうだ。
