ペゼシュキアン大統領の回答が動いた。イランはパキスタンを仲介ルートとして、米国が提示した停戦提案への正式な返答を送付した――BBCが報じ、複数メディアが追随した。ただし中身はまだ非公開。受諾なのか、拒否なのか、それとも条件付きの交渉継続なのか、そこは「黒塗り」のままだ。

米イラン14項目覚書、その3つの柱

Axiosが米当局者4人の話として伝えたところによれば、米側が用意した覚書は1ページ・14項目。核濃縮の一時停止、制裁の解除、そしてホルムズ海峡の自由航行回復――この3点が骨格とされている。

ホルムズ封鎖・核凍結の組み合わせがいかに重いかは数字が示す。世界の原油取引量の約20%がこの海峡を通過する。封鎖が続けば原油価格は高止まりし、輸入依存度の高い日本のガソリン代や電気代にも跳ね返ってくる構図らしい。現にイランが封鎖を維持したまま交渉に入るのか、それとも封鎖解除を先行させるのかという順序問題が、今後の最大の火種になるんじゃないかと調べるほど感じる。

「降伏ではない」発言の裏側にある国内圧力

ペゼシュキアン大統領はXにこう書いた。

「我々は決して敵に頭を垂れない。対話や交渉の話が出たとしても、それは降伏でも後退でもない。目標はイラン国民の権利を守り、断固たる強さで国益を守ることだ。」

この言葉、国際社会向けというより国内向けに見える。革命防衛隊や強硬派は「交渉=屈服」と見なす傾向が強く、大統領が正面から「降伏じゃない」と言わなければならない状況自体が、交渉の難しさを物語っている。トランプ政権は米イラン14項目覚書を軸に核問題棚上げの暫定合意を先行させる案も浮上させており、「全部一括解決」を望むイラン側との落としどころは、まだ見えていない。

この先どうなる

回答の詳細が公開されれば、市場と外交は同時に動く。ホルムズ封鎖・核凍結が部分的にでも解除方向に動けば、原油価格は反落する可能性があり、制裁解除が視野に入ればイラン通貨リアルにも影響が出るだろう。一方、トランプ政権が海上封鎖という圧力を維持しながら「暫定合意先行」を押し通そうとすれば、イラン国内の反発は再燃しかねない。ペゼシュキアン回答の次の一手、つまり「沈黙の中身」が明らかになる瞬間が、この交渉の本当のスタートラインになるはずだ。