中国GDP成長目標「約5%」という数字が、今ほど頼りなく見えたことはなかったかもしれない。主要経済指標が軒並み期待値を下回り、Reuters報道は「政府の目標達成能力への懸念が高まっている」と伝えた。問題は中国国内にとどまらず、日本を含むアジア全体のサプライチェーンが揺れ始めている。
不動産・消費・デフレ——3つの重しが同時に圧し掛かった
調べてみると、今の中国経済には三つの重しが同時にのしかかっているのがわかった。
ひとつ目は不動産危機の長期化。恒大グループをきっかけに表面化した開発業者の債務問題は、住宅価格の下落と建設投資の急減を引き起こしたままで、まだ底が見えていない。
ふたつ目が個人消費の萎縮。住宅資産の目減りが家計の財布を直撃し、中間層の消費マインドは冷え込んだままらしい。政府が小売刺激策を打っても、焼け石に水の印象が続く。
そして三つ目がデフレ圧力。消費者物価が横ばいから下落圏をさまよい、企業の価格決定力も削がれている。価格が下がれば利益が減り、設備投資も雇用も縮む——悪循環の入口に立っているような状況だ。
「中国経済は失速しており、不動産危機・個人消費の低迷・デフレ圧力が成長を圧迫し、政府が掲げる約5%成長目標の達成能力に懸念が高まっている。」(Reuters報道より)
三つが個別に起きるだけでも厄介なのに、同時進行しているのがいちばんの問題じゃないか。
「デフレの輸出国」になる日——日本・新興国を直撃するサプライチェーン安値連鎖
ここで引っかかったのが、中国不動産危機や国内需要の失速が、なぜ遠く離れた国々にまで影響するのかという点だった。
答えは中国の立ち位置にある。世界の製造業サプライチェーンの頂点にいる需要国が購買力を失えば、まず原材料の調達量が減る。鉄鉱石、銅、石炭——資源価格が下押しされ、それを輸出している新興国の財政が傷む。さらに中国企業が安値で製品を輸出し始めると、競合する日本や韓国、東南アジアのメーカーが価格競争に引きずり込まれる。
「デフレは輸出によって世界に輸出される」——このフレーズが妙に現実味を帯びてきた。日本の輸出企業にとっても、中国向け受注の減少と第三国市場での中国製品との競合という二正面のストレスがかかってきたっていうことだ。
新興国への資金フローにも変化が出ている。中国リスクを警戒した外資が別の投資先を探す動きが出る一方、中国発のデフレ圧力が新興国の輸出収益を削ぐという逆説的な構図も生まれつつある。
この先どうなる
焦点は北京が打ち出す景気刺激策の「規模」と「速度」にある。不動産セクターへの追加支援、消費バウチャーの拡充、利下げといった手段は選択肢に並んでいるが、どれも即効性には疑問符がつく。
仮に年末までに大規模な財政出動が実行されても、不動産市場の信頼回復には数年単位の時間がかかるとみられている。5%目標を達成したとしても、その中身が政府投資に偏った数字であれば、消費主導の持続的成長とは程遠い。
日本を含むアジア各国にとっては、中国の景気対策の規模と配分先を注視しながら、自国のサプライチェーン多元化を粛々と進める時間帯が続きそうだ。「中国頼み」のビジネスモデルを見直す契機として、この局面を使えるかどうか——各国・各企業の対応力が試される。
