ホルムズ海峡封鎖が現実になったとき、世界最大のエネルギー消費国の輸入グラフは4月、はっきりと崩れ落ちた。Bloombergが2026年5月9日に報じたデータによれば、中国のエネルギー輸入は同月に急減。その背景にあるのは、世界の原油輸送量の約2割が通過する海峡の、事実上の機能停止だった。

ペルシャ湾岸4割超——数字が示す依存の深さ

中国がペルシャ湾岸から受け取る原油は、輸入全体の4割超を占めている。この比率を改めて見ると、「ホルムズが止まれば中国も止まる」という構図がそのまま数字に出ていることがわかる。

代替ルートの話はすぐ出てくるが、現実はそう簡単じゃない。アフリカ南端を迂回するケープルートは距離が2倍以上に跳ね上がり、タンカーの確保コストも運賃も上がる。ロシア産原油やカザフスタンのパイプラインで穴を埋めるにしても、4割超を短期間で代替できる話ではないらしい。

その結果として出てきたのが、国内精製稼働率の低下と工業生産への波及。「エネルギーが来ない→工場が回らない」という連鎖が、じわじわと数字に乗り始めている段階だ。

「ホルムズ海峡を通じた輸送がほぼ停止したことで、中国のエネルギー輸入は4月に急激に落ち込んだ」(Bloomberg、2026年5月9日)

王毅がアラグチーに直電した件

外交の動きが一番雄弁かもしれない。王毅外相がイランのアラグチー外相に対して輸送の即時再開を直接要求した——この事実が、北京の焦りをそのまま映している。

中国外交は基本的に「急かす」姿勢を表に出さない。それでも直接要求に踏み切ったということは、内部の切迫感が相当なレベルに達しているってことだろう。中国はイランとの経済関係を長年積み上げてきた経緯があり、通常はこういった要求は非公式ルートで処理される。それが表に出てきたこと自体、異例と見ていい。

中国エネルギー輸入の急減がサプライチェーン全体に波及する前に海峡が再開するか、それとも代替調達が本格軌道に乗るか——今はその競争になっている。

この先どうなる

ホルムズ海峡の状況が短期間で正常化しなければ、中国の精製稼働率の低下は5月以降のデータにより鮮明に出てくる可能性が高い。工業生産への影響が数字として確認される段階になれば、アジア全域の製造サプライチェーンにも余波が広がりかねない。

一方、中国側は中東以外の調達先——ロシア、西アフリカ、南米——との交渉を加速させているとみられる。ただし量とタイミングの両方で埋め切れるかは未知数で、当面は需給の綱渡りが続きそうだ。ペルシャ湾岸原油サプライチェーンの脆弱性が今回ほど可視化されたことはなく、中国のエネルギー戦略の見直し議論も今後加速するんじゃないかという見方も出ている。ホルムズという1本の海峡が、これだけ多くのものを動かしている。