トランプ習近平首脳会談が、イラン戦争による中断を経て再び日程に上がってきた。Bloombergが5月9日に伝えたもので、舞台は北京。ただし、これは「握手のための会談」じゃない。
レアアース・関税・ホルムズ――2025年が変えた交渉の地形
2025年は米中双方にとって、互いの「急所」がどこにあるかを教えた1年だった。関税の応酬が激化するなか、中国がレアアース・重要鉱物の輸出規制をちらつかせると、アメリカのサプライチェーンがどれだけ脆いかが可視化された。米中貿易摩擦の文脈でレアアースが「地政学の武器」として機能することを、世界は改めて目撃した格好だ。
そこにイラン戦争が重なった。ホルムズ海峡が不安定化したことで、エネルギー供給網の再設計は両国にとって「先送りできない議題」になった。中国はホルムズ依存が高く、アメリカはその混乱を利用しつつも長期的な秩序設計に関与したい。利害がぶつかり、かつ交差している。
「友好ではない」――元米中商工会議所会頭の断言
「The postponed Beijing summit between President Trump and China's President Xi is back on the agenda, delayed by a war in Iran that has reshaped the dynamic between the two leaders. Both sides are looking for stability, not a breakthrough.」(Bloomberg, 2026年5月9日)
元米中商工会議所会頭のマイロン・ブリリアントは、この会談を「友好のためではない」と断言している。調べれば調べるほど、これは正確な表現だと感じる。突破口を開くための会談ではなく、「いまある混乱をこれ以上拡大させない」ための管理交渉。お互いに傷を負ったまま、落としどころを探るフェーズに入ったということらしい。
双方が「安定」を優先せざるを得ない理由は数字にも表れている。2025年の関税エスカレーションで米中の貿易コストは急騰し、企業レベルでの調達見直しが加速した。その結果、どちらも「完全デカップリング」のコストを再計算し始めた、というのが実態じゃないか。
この先どうなる
会談が実現した場合、関税の一部緩和や重要鉱物をめぐる暫定的な取り決めが焦点になりそうだ。ただし「米中貿易摩擦レアアース」問題の根本解決には程遠く、あくまで局面の凍結に近い。イラン戦争後の中東秩序という変数も残っており、エネルギー絡みの協議がどこまで踏み込めるかは未知数だ。北京サミットが「取引の場」として機能するかどうか、その手応えは会談後の声明文の「何が抜けているか」で分かる。結果の空白を読む習慣が、これからは必要になってくる。