アラグチー外相が米軍のタンカー発砲を公式Xで「無謀な軍事的冒険」と断罪した翌日、米中央軍はオマーン湾でイラン船籍タンカー2隻を実際に無力化した――外交と軍事行動がほぼ同時に動くというおかしな状況が、今週一気に表面化してきた。
ホルムズ海峡で何が起きているか:2000隻・20%・2月から
世界の原油とLNGの約20%が通過するホルムズ海峡では、今年2月以降、2000隻超の船舶が身動きを取れないまま待機を続けている。米国はイラン港湾への海上封鎖を維持しながら、一時は足止め船舶の解放を目指した軍事作戦を開始・一時停止するという動きを見せた。原油価格が動き続けているのは当然で、現場の緊張がそのまま市場に反射している格好だ。
そのなかで米中央軍が発表したのが、オマーン湾でイラン籍の空タンカー2隻がイランの港に入ろうとしたところを「封鎖違反」として無力化したという内容。タンカーに積み荷はなかったとされるが、それでも実力行使に踏み切った点が引っかかる。
「外交的解決策がテーブルに載るたびに、米国は無謀な軍事的冒険を選択する。イラン国民が圧力に屈することは絶対にない」――アラグチー外相、公式Xより(BBC報道)
アラグチー外相はさらに「これは稚拙な圧力戦術なのか、それとも誰かが再びトランプ大統領を泥沼に引き込もうとしているのか」とも書いており、トランプ政権内部の意思統一を揺さぶるような問いかけも混じっている。
ルビオ「真剣な提案であってほしい」:交渉期限は金曜日
一方でルビオ国務長官はイタリア訪問中に、イランが金曜日に米側提案へ回答する見通しを示した。「本当に真剣な提案であることを願う」という言葉は、外交的な社交辞令というより、半ば本音が漏れたように聞こえる。ホルムズ海峡封鎖2025の長期化は米国側にとっても好ましくなく、エネルギー市場への影響を無視できなくなっているはずだからだ。
トランプ大統領は「停戦は維持されている」と発言しているものの、現場では双方が攻撃を仕掛けたと互いに主張しているわけで、停戦の定義が極めて曖昧な状態にある。イラン核合意交渉としての文脈で見ると、2月の米・イスラエルによる軍事行動を経て、交渉再開→現場衝突→交渉継続という奇妙なサイクルが繰り返されてきた。
この先どうなる
金曜日のイラン回答次第で局面は大きく変わりうる。もしイランが実質的な拒否回答を出せば、米国は封鎖強化か追加の軍事オプションに踏み込む可能性がある。逆に条件付き受諾なら、ホルムズ海峡封鎖2025の解除交渉が一気に加速するシナリオも残っている。ただ、外交交渉と現場の発砲が同時進行してきたここ数日のパターンを見ると、「回答が出ても衝突は止まらない」という最悪ケースも十分ありえる。アラグチー外相の言葉を借りれば、誰かが意図的にこの泥沼を続けたいと思っているなら、話はさらにこじれる。