日本為替介入が、今年のゴールデンウィーク中に極秘で実施されていた——ロイターが複数の関係者取材で明らかにした。財務省からの公式発表はいまも出ていない。市場が薄くなる大型連休をわざわざ選んだのは、少ない弾薬で最大の効果を狙う「奇襲」そのものだった。
1ドル155円超——政府が「口先」を諦めた瞬間
円安圧力が続いていた。1ドル155円を超える水準が定着し、エネルギーや食料の輸入コストは家計と企業を静かに蝕み続けた。政府はこれまで「投機的な動きは看過できない」と繰り返してきたが、口先介入だけでは相場はほとんど動かなかった。
ゴールデンウィーク中は市場参加者が極端に少ない。流動性が落ちたタイミングで円買いドル売りを仕掛ければ、少額でも相場を大きく動かせる。財務省がこの「窓」を狙ったとすれば、判断としては理にかなっている。調べてみると、2024年の大型介入でも同様に市場参加者の薄い時間帯が選ばれていた。
「ゴールデンウィーク休暇期間中、日本が円を押し上げるために外国為替市場に介入したと、事情に詳しい2人の情報筋がロイターに語った。」(Reuters, 2026年5月8日)
ここが引っかかったのは、財務省が今回も「発表しない」という選択をしていること。介入の有無を明かさないことで、市場に「また来るかもしれない」という緊張感を持続させる狙いがあるとみられる。サプライズの余韻を意図的に引き延ばす戦術——ともいえる。
2024年も数週間で戻った、今回の持続性は?
ゴールデンウィーク円買い介入の最大の課題は、効果がどこまで続くかだ。2024年に実施された総額9兆円超ともいわれる介入でも、円は数週間のうちに介入前の水準に戻った。為替レートを根本から動かすには、米連邦準備制度(FRB)の利下げか、日銀のさらなる利上げか、そのどちらかが必要になる。
エコノミストの見方はほぼ一致している。日米金利差が大きいままでは、ドルを売って円を買うインセンティブが市場参加者に生まれない。財務省ドル円の操作は「時間を買う」手段にはなっても、トレンドを変える力はないというわけだ。
介入規模や正確な日時はまだ開示されていない。財務省は月次の外貨準備データで事後的に確認できるが、それが公表されるのは数週間後になる。それまでの間、市場には「また来るかもしれない」という緊張だけが残る。
この先どうなる
焦点は二つ。ひとつはFRBの利下げ時期——これが前倒しになれば日米金利差が縮まり、介入なしでも円高方向への圧力が生まれる。もうひとつは日銀の次の一手。追加利上げへの地ならしが進むかどうかが、夏以降の円相場の分岐点になりそうだ。介入が「奇襲」で終わるのか、それとも政策転換の序章になるのか——そこが今、最も注目すべきところだろう。