MAGURA V5——ウクライナが黒海でロシア艦艇を沈めてきたあの無人艇に酷似した機体が、地中海のギリシャ沖で漁師に発見された。エンジンはまだ動いていた、と地元メディアは伝えている。

洞窟の中で待機状態だったギリシャ海軍ドローン、爆発物も確認

木曜日の朝、レフカダ島近海の洞窟を確認した地元漁師が数メートル級の暗色の艦艇を発見し、ギリシャ沿岸警備隊に通報した。曳航された先はヴァシリキ港。甲板のハッチは開いたままで、機体には爆発物が積まれていたという。現在はギリシャ国防省が調査を引き継いでいる。

映像を見ると、船体に識別マークは見当たらない。ただ、外観についてギリシャ紙「タ・ネア」はこう報じている。

「この艦艇はウクライナ製であるか、進行中のロシア・ウクライナ戦争と関連している可能性がある。外観はウクライナ軍のMAGURA V5に酷似している」

BBCはギリシャ軍とウクライナ軍の双方にコメントを求めているが、執筆時点で公式な回答は得られていない。

シャドーフリート狙いなら、戦場はすでにバルカン沖まで来ている

注目すべきは、機体の漂流理由として浮上している一説だ。ロシアの制裁逃れに使われる「シャドーフリート」——数百隻規模の石油・ガスタンカー船団——を標的にした作戦機材が、何らかの理由で制御を失い漂流した可能性がある、という読み方が現地専門家の間で出ている。

MAGURA V5はウクライナ軍がこれまでに黒海で複数回の実戦使用を確認されている機種。航続距離や爆発物搭載量から、沿岸ではなく外洋での運用も不可能ではない設計とされている。イオニア海まで流れ着いたとなると、発射地点はかなり遠方になる計算になる。

ギリシャ軍の調査では、技術的な故障なのか通信途絶なのか、まずその点を確認する見通しだという。真相が判明するまで時間がかかるのは避けられないが、機体が「待機状態」のままだったという事実は、単純な漂流とは少し違う印象を与える。

この先どうなる

ギリシャ国防省の調査結果次第で、話はいくつかの方向に分岐する。機体がウクライナ製と確認されれば、ウクライナが地中海でも対ロシア作戦を展開しているという証拠になりうる。NATO加盟国であるギリシャの領海での発見だけに、外交的な説明が求められる場面も出てくるかもしれない。一方でシャドーフリート問題は欧州全体の懸案事項でもあり、作戦の意図自体を批判しにくい側面もある。ウクライナ側のコメントが出るかどうか、そこが次の注目点になりそうだ。