ラマポーザ弾劾の火種が、2年の沈黙を経て再び燃え上がった。南アフリカ憲法裁判所は2025年、2022年に議会が弾劾手続きを封じた行為は違憲だったと認定。農場のソファに隠されていた現金58万ドル――約8,700万円――の説明を求める声が、今度は法的な根拠を持って蘇ってきた格好だ。

ソファから出てきた58万ドル、そのとき議会が動いた

発端は2022年に遡る。ラマポーザ大統領が所有する農場に強盗が入り、ソファに隠されていた現金約58万ドルが盗まれた。独立パネルが調査を行い、「資金の出所について合理的な説明がない」として説明責任を問える案件だと結論づけた。

ところが弾劾手続きは、議会の採決によって封じられた。当時、与党ANCが議会の多数を握っていたためで、事実上の政治的幕引きだった。ラマポーザ本人は不正を否定し続けていた。

「新たな弾劾手続きが開始される可能性がある」――BBC News、EFF等による法的異議申し立てを受けた憲法裁判所判決の報道より

今回の判決はマレマ率いる経済的自由の闘士(EFF)らが起こした法的異議申し立てに応えたもの。南アフリカ憲法裁判所が「議会の行為は違憲だった」と明言したことで、手続きを再起動する法的な足場が整った。

ANC連立政権への転落が「政治の盾」を奪った

状況を大きく変えたのは2024年総選挙だった。ANCはついに過半数を失い、連立政権へと移行。30年間維持してきた単独多数という最大の防衛線が崩れた。

これは単なる選挙結果ではなく、弾劾をめぐる力学を根底から変える転換点だったらしい。多数を占める仲間が議会にいなければ、同じ手は使えない。判決直後、マレマはヨハネスブルクの裁判所前で即時辞任を要求した。

一方、大統領府は「憲法、司法の独立、法の支配への揺るぎない支持を再確認する」との声明を発表。「いかなる人物も法の上に立たない」という言葉も盛り込まれ、手続きには粛々と向き合う姿勢を示した。ただ、辞任については触れていない。

この先どうなる

憲法裁の判決が出ても、弾劾が自動的に進むわけではない。議会が手続きを正式に再開するかどうか、連立パートナーとの調整がどう動くかが次の焦点になりそうだ。ANC連立政権内でも足並みが揃わなければ、手続きは再び宙に浮く可能性がある。

南アフリカの政治が連立の時代に入った今、単独政党による「数の力」は使えない。逆に言えば、少数野党でも憲法を武器にすれば政権を揺さぶれる時代になった――とも読める。ラマポーザがこの局面をどう乗り切るか、議会の動きが当面の注目点になる。