戦勝記念日停戦の初日に、違反件数が1000件を超えた。ロシア国防省が自ら報告した数字がそれで、しかも同じ日にモスクワがドローンに狙われている。停戦を宣言した側の首都が攻撃を受ける。なんとも皮肉な滑り出しだった。

モスクワドローン攻撃、停戦ゼロ時間の現実

プーチンが宣言した停戦は5月8〜9日の限定的なもの。ところが停戦開始の深夜0時を回った直後、モスクワ市長はドローンが首都を標的にしたと公表した。ウクライナ側も負けじと「ロシア軍は停戦後も攻撃をやめていない」と主張し、双方が互いを非難するという構図がそのまま固まった格好だ。

「ロシア国防省は停戦開始後、衝突地帯で1000件を超える違反を報告。モスコー市長は停戦が深夜に始まって以来、ドローン攻撃を受けたと述べた。」(BBC News)

ウクライナはもともと5月6日からの無期限停戦を提案していた。ロシアはそれを受け入れず、独自に48時間だけの停戦を設定した。この時点でかみ合っていない。ロシアウクライナ停戦違反の応酬は、最初から起きるべくして起きたともいえる。

軍事装備ゼロ・外国首脳3人だけ、異例づくしのパレード

今年の赤の広場パレードが異例だったのは停戦違反だけじゃない。軍事装備の展示が約20年ぶりに姿を消した。戦車も装甲車もなく、行進するのは兵士だけ。ロシア側は「予防措置」と説明しているが、ウクライナ軍による攻撃リスクを警戒してのことだというのは、ほぼ疑いようがない。

外国からの参加者も激減。かつては多くの国の首脳が集まった式典に、今年足を運んだのはベラルーシ、マレーシア、ラオスの3カ国指導者と一部の要人だけ。モスクワとサンクトペテルブルクでは市民のモバイル通信が制限され、首都から外交官を退避させるよう外国に勧告まで出ていた。勝利を祝う式典というより、要塞に籠もる守りの一日、という印象が拭えない。

ロシア国防省はウクライナがパレードを攻撃しようとすれば「キエフ中心部への大規模ミサイル報復攻撃」を行うと警告。緊張の高さが、外からでも伝わってくるような厳戒ぶりだった。

この先どうなる

48時間の限定停戦が終われば、交渉が前に進む保証は何もない。米国が仲介する形での包括的停戦交渉は続いているものの、初日から1000件超の違反という実態は、双方の不信感がいかに根深いかを物語っている。戦勝記念日という政治的な節目を使った停戦が機能しなかった事実は、今後の和平交渉にとってむしろマイナスの先例になりかねない。次の「節目」に期待をかける前に、監視と検証の仕組みをどう作るか、そこが問われることになりそうだ。