Shell利益が69億ドルを超えた——ホルムズ海峡が「事実上の閉鎖」に入ってから、まだ1四半期しか経っていない。2025年第1四半期、シェルの純利益は前年同期比24%増の69億2000万ドル。これを聞いて「原油高の時期だから当然」と流せる人は、少し待ってほしい。同じ期間、英国の競合BPの利益は前年比2倍以上に跳ね上がった、と報じられている。2社同時に、これだけの数字が並ぶのはさすがに偶然じゃない。

ホルムズ封鎖で止まった「世界の原油2割」の行方

ホルムズ海峡封鎖の影響がここまで直接的に決算へ反映されるとは、正直思っていなかった。同海峡は通常、世界の原油と液化天然ガス(LNG)供給量の約20%を通過するルートだ。

「The price of oil has seen a big rise since the start of the US-Israel war with Iran as the key Strait of Hormuz — which usually carries about 20% of the global supplies of oil and liquid natural gas — has been effectively closed.」(BBC News)

この封鎖が長引くほど、代替ルートのコストは上乗せされ続ける。スエズ運河経由やアフリカ南端迂回のタンカー運賃は跳ね上がっており、その転嫁先は最終的に輸入国の消費者だ。英国のモータリング団体RACも「イラン戦争が解決しない限り、ポンプ価格は上がり続ける可能性がある」と警告を出している。

BPも2倍超——エネルギー大手に流れ込む「戦時の特需」

シェルだけが突出しているわけでもないところが、引っかかる点だった。BPが同じ第1四半期に前年比2倍超の利益を叩き出したという報道が先週出ており、2大メジャーがそろって急拡大している。ホルムズ海峡封鎖というイラン戦争の直接的な余波が、エネルギー企業の収益曲線をそのまま右に押し上げた格好だ。
一方でガソリンスタンドに並ぶ市民の側では、光熱費と燃料費が同時に上昇している。特に自前のエネルギー資源を持たない新興国にとって、輸入コストの上昇は通貨安と組み合わさって二重の打撃になりやすい。ロシア・ウクライナ戦争のときも似たような流れがあったが、ホルムズ海峡封鎖のインパクトはルートの集中度が高い分、影響が広域に出る。

この先どうなる

封鎖の長期化シナリオが現実になれば、シェルやBPの次の四半期決算も高水準が続く可能性がある。ただ、原油高が一定水準を超えると需要破壊が起き始め、価格が自己抑制される局面も過去にはあった。注目点は3つ——ホルムズ海峡の通航再開に向けた外交交渉の進捗、OPECプラスの増産判断、そして各国政府がエネルギー企業への課税強化に動くかどうか。豪州では「ガス利益への適切な課税」を巡る議論がすでに国内で沸騰しており、英国でもウィンドフォール税(横取り利益税)の再発動を求める声が上がっている。市民の怒りが政策に変換されるまでのタイムラグが、今後の分岐点になりそうだ。