李尚福が国防相を解任されたのは2023年10月。就任からわずか7カ月のことだった。その前任者・魏鳳和とともに、軍事法廷が2人に下した判決は「執行猶予付き死刑」——中国の法体系では事実上の終身刑を意味する、重い処断だった。

「消えた国防相」李尚福に何が起きたか

李尚福が公の場から突如姿を消したのは2023年8月。当初は「健康上の理由」との見方もあったが、2カ月後の10月に正式解任が発表され、収賄疑惑が浮上した。今回の判決で収賄罪が正式に認定され、個人資産はすべて没収された。

軍事法廷によれば、2年の執行猶予期間を経て終身刑に減刑されるが、仮釈放も刑の軽減も一切認められないという。事実上、獄中での死を意味する量刑だ。

「軍事法廷は木曜日、魏鳳和と李尚福に対し、2年間の執行猶予付き死刑判決を言い渡した。これは2年後に終身刑へ減刑されることを意味するが、刑の軽減や仮釈放の可能性はない」(新華社通信 / BBC News)

魏鳳和は2018年から2023年にかけて国防相を務めた。後任として李尚福が就いたわけだが、今回の判決は連続する2人の国防相が同一の腐敗疑惑で断罪されたという、異例の事態になった。

習近平「革命的な鍛錬」発言が示す粛清の広がり

今年2月、習近平は珍しい形で軍内の腐敗問題に公式言及した。「軍は腐敗との戦いの中で革命的な鍛錬を受けた」——この一言は、粛清がまだ続いているというシグナルとも読み取れる。

実際、最高軍事指導部に位置する張又侠も最近その職を追われており、習近平の反腐敗キャンペーンが軍の最上層まで及んでいることがわかってきた。魏鳳和・李尚福の2人はその象徴的な事例として記録されることになる。

ただ、内外の専門家の間では「腐敗摘発が政敵排除の道具として使われているのでは」という見方も根強い。習近平が権力を掌握して以降、反腐敗を名目とした大規模な党内粛清は繰り返されており、今回の軍への波及もその延長線上にあるらしい。摘発された人物がほぼ例外なく「有罪」を認める点も、純粋な司法手続きとは異なる政治的圧力を感じさせる。

この先どうなる

2人の判決確定で、軍内の粛清が一段落するかといえば、どうやらそうじゃなさそうだ。張又侠の更迭が示すように、習近平は軍人事の刷新を続けている。次にスポットが当たるのがどの将官か、現時点では見えていない。

一方、軍最高幹部が相次いで断罪されることは、中国人民解放軍の士気や内部統制にも影を落としかねない。外部からは「引き締まった軍」に見えても、内側では「誰が次に消えるか」という緊張が走っている可能性がある。粛清の波がどこで止まるか——それを測る手がかりは、習近平自身の次の発言の中にあるかもしれない。