トランプ関税 違法判決が、二度目の司法の壁として政権を直撃した。米連邦裁判所は、最高裁での敗訴を受けた後にトランプ政権が強行した追加のグローバル関税について、「行政府にこれを課す法的権限はない」と明確に認定。大統領令で貿易秩序を塗り替えようとした手法が、今度は下級審でも通用しなかった。
最高裁の次も負けた──権力分立という「見えない壁」
今回の判決で問われたのは、大統領はどこまで議会を飛ばして動けるか、という一点だった。トランプ政権は国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に幅広い関税を発動してきたが、連邦裁はこの解釈を退けた。議会の承認なく大統領令で関税を設定するのは権力の分立に反する、という論理は最高裁でも下級審でも変わらなかったらしい。政権側にしてみれば、最高裁で跳ね返されてもう一手を打ったつもりが、また同じ壁に激突した格好だ。
「連邦裁判所は、トランプ大統領が最高裁での敗訴後に課した新たなグローバル関税に対し、政権にそれを課す権限がないとして違法との判断を下した。」(AP通信)
米連邦裁 貿易権限をめぐる法廷闘争は、もはや単発の訴訟ではなく、行政権の射程をどこで区切るかという憲法論争の様相を呈している。そこが引っかかった点で、仮にトランプ政権が上訴して勝ち筋を探すとしても、「議会を介さず大統領令で関税を決定できる」という前例を高裁・最高裁に認めさせるハードルは相当に高いとみられる。
日本への関税は消えるのか──期待と「まだわからない」の間
日本を含む対米輸出国にとって、この判決は朗報に映る。だが即座に関税が消えるかといえば、そう単純じゃない。政権が上訴を選択すれば執行停止の可否をめぐってさらに審理が続き、実際に輸出コストが下がるまでには時間がかかりうる。大統領令 司法審査の枠組みでは、最終的な決着が出るまで企業は関税がかかる前提で取引を組み立てざるをえない局面が続く可能性も高い。実務的なダメージは、判決後もしばらく続くってことだ。
一方で、立法府の動きも無視できない。議会の一部議員はそもそもIEEPAを使った関税発動に疑義を持っており、今回の判決を機に立法による制限論が再燃する気配もある。関税帝国の構築を目指すトランプ政権にとって、司法と議会の両面で抵抗に遭っている現状は想定外のタフな展開だろう。
この先どうなる
政権の選択肢は大きく三つ。上訴して法廷で巻き返しを図る、議会に立法権限を求めて関税の合法的根拠を作り直す、あるいは個別の通商交渉に戦術を切り替える、といったところ。最も可能性が高いのは上訴だが、それは法的攻防のさらなる長期化を意味する。日本や欧州の対米輸出企業は判決の推移を注視しつつ、不確実性を前提にしたリスク管理を迫られそうだ。関税の行方が法廷で決まる、という前例のない事態はまだ続く。