王毅とイランの外相が会談し、「敵対行為を再開すれば明確な結果が伴う」と警告が飛んだ——そう伝えたのはニューヨーク・タイムズだった。会談の焦点はホルムズ海峡。世界の原油輸送量の約20%が通過するこの水路を、北京が自ら「開けておけ」とテヘランに求めた形になる。

なぜ中国がイランを動かす側に回ったのか

これまで米国は何度も北京に「イランへの圧力役を頼む」と打診してきたとされる。中国はサウジアラビアとイランの国交正常化を仲介した実績もあり、テヘランとのパイプは太い。今回、北京がその役割を公式に担ったとすれば、米中の水面下の取引があったとみる向きも出てくる。

王毅 イラン 会談の内容を額面通りに受け取るなら、中国は「中立の仲裁者」から「圧力をかける側」へと立ち位置をずらしたことになる。それが北京の自発的な判断なのか、トランプ政権との交渉材料として差し出したものなのか、そこがまだ見えない。

「中国の最高外交官はイランの外相と会談し、敵対行為の再開に警告を発した。米国は中国に対し、イランにホルムズ海峡を再開させるよう圧力をかけることを求めていた。」(ニューヨーク・タイムズ)

中国にとってホルムズ封鎖は、エネルギー輸入の動脈を切られるに等しい。中東からの原油依存度が高い北京にとって、ここは絶対に塞がせたくない場所だ。「イランとの関係維持」と「航路の安全確保」が同時に必要という、なかなか厳しい条件で外交を回している。

イランが「はい」と言うかどうかが次の焦点

問題は、王毅の要求にイランが実際に応じるかどうかだ。ホルムズを封鎖するという選択肢は、イランにとって対米・対西側の最大の切り札でもある。それを中国に「使うな」と言われた場合、テヘランがどう受け取るかは読みにくい。

直近の動きを見ると、革命防衛隊による貨物船拿捕、米軍機への対応、イスラエルとの空爆の応酬と、中東の緊張は段階を踏んで積み上がってきた。その流れの中で王毅が動いたタイミングは、偶然とは思えない。ホルムズ海峡開放をめぐる中国の圧力外交が、どこまで実効性を持つかが問われる局面に入ったとも言える。

この先どうなる

エネルギー市場は北京の動きを注視しているとされるが、王毅の「警告」がイランの行動を実際に変えるかどうか、答えはまだ出ていない。中国がイランへの圧力を強化すれば、対中関係の冷却というリスクが跳ね返ってくる。逆にイランが動かなければ、北京の「仲裁力」に疑問符がつく。米国・中国・イランの三角形は、どの辺を引っ張っても別の辺がたわむ構造になっている。次の動きは、テヘランの返答次第だ。