重要鉱物をめぐる米ブラジルの綱引きが、ついにホワイトハウスの会議室まで届いた。トランプ大統領とブラジルのルーラ大統領が木曜日に首脳会談を行うと報じられたが、注目すべきはウクライナでも貿易でもなく、「地下に眠る資源」が両国を引き寄せているという点だった。

ニオブ埋蔵量、世界シェアの9割超がブラジルに集中

ブラジルが保有するニオブは、世界の確認埋蔵量の90%超を占めるとされる。ニオブは鋼鉄の強度を大幅に高める合金元素で、自動車・航空・建設分野での需要が急増している。さらにリチウム・レアアースでもブラジルは主要産出国の一角。EVシフトや半導体供給網の再編が加速する中、米国にとってこの国の資源は「あれば便利」ではなく「なければ困る」水準に近づいているらしい。

ニオブ サプライチェーンの観点からいえば、中国がこの分野での影響力を静かに広げてきた経緯もある。ブラジルの国営・民間鉱山企業への中国系資本の関与が取り沙汰されており、ワシントンがブラジルとの関係修復を急ぐ背景のひとつになっているとも指摘される。

「トランプ大統領とルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、険しい関係を経て、木曜日に安全保障・貿易・重要鉱物をめぐる会談を行う」(The New York Times)

引用にある「険しい関係」という表現が端的に表している。ルーラ氏はウクライナ侵攻後もロシアとの対話路線を崩さず、停戦仲介役を自任してきた。トランプ陣営からすれば、それは「ロシアへの肩入れ」に見えたはずで、両政権の間には長らく実務的な溝があった。

「嫌いでも組む」——現実政治が動かした首脳会談

それでも会談が実現したのは、イデオロギーより利害が勝ったからじゃないか、というのが率直な印象だった。米国は中国からのレアアース・鉱物依存を段階的に減らす方針を打ち出しており、その代替先としてオーストラリア・カナダ・アフリカ各国と並んでブラジルが浮上している。トランプ ルーラ 首脳会談の議題として鉱物外交が盛り込まれたのは、そういう計算があってのことだろう。

ブラジル側にもメリットはある。米国との貿易関係を安定させることで、鉄鉱石・農産物の輸出ルートを守れる。対米関税リスクを下げたいルーラ政権にとって、今回の会談はホームでもアウェーでもない「中立の土俵」として機能しうる。

この先どうなる

会談の結果次第では、米ブラジル間の重要鉱物に関する二国間協定や共同開発の枠組みが動き出す可能性がある。すでに米国はオーストラリアやカナダとの鉱物パートナーシップを拡充しており、ブラジルが同様の枠組みに加われば、サプライチェーン上の影響は小さくない。一方、ルーラ政権が国内左派や環境団体の反発を受けずに資源開発を外資に開放できるかは未知数で、合意が出ても実行フェーズで詰まるシナリオも十分ありえる。ニオブ サプライチェーンの再編が本当に加速するかどうか、もう少し追いかけてみたいところだ。