Iran nuclear programが「タイムアップ寸前」とIAEAが警告している最中、トランプ大統領がTruth Socialに一行投稿した。欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長と電話会談を行い、イランの核問題を協議した――それだけの内容なのに、この投稿が各国の外交筋を動かした。

IAEAが鳴らすアラーム、濃縮ウラン90%が意味すること

イランの濃縮ウランはここ数年で急激に純度を高めており、IAEAの最新報告では兵器級とされる90%に迫る水準に達しているとされる。核兵器1発分の材料を揃えるまでの時間は、数週間単位に縮まっているという見方もある。

2015年のJCPOA(イラン核合意)からトランプが離脱したのは2018年のこと。バイデン政権が再交渉を試みたものの合意には至らず、トランプが再び大統領に返り咲いた現在、核交渉の枠組み自体がほぼ空白のままになっている。その空白をいま、米欧が埋めようとしているらしい。

「欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長と素晴らしい電話会談を行った。私たちは(イラン核問題について)話し合った。」― Donald J. Trump(Truth Social)

短い投稿だが、読んで引っかかるのは「素晴らしい」という形容詞。交渉が決裂した相手には使わない言葉で、少なくとも両者の間に何らかの共通認識が生まれたことを示唆している。

トランプが「圧力」と「対話」を同時に動かす理由

トランプ政権の対イラン戦略はこれまで「最大限の圧力」路線が軸だった。経済制裁の強化、石油輸出の締め付け、革命防衛隊への圧力。ところが今回、欧州との協調というカードをあわせて切ってきた格好になっている。

欧米が足並みを揃えてイランに交渉テーブルを迫るシナリオは、イランにとってかなり圧迫感が高い。EUはJCPOA時代から仲介役を務めており、イランとのパイプも持っている。Trump von der Leyen callの水面下には、このEUのチャンネルを使った非公式な打診が走っている可能性もある。

一方でイランは現在も「条件なしの交渉には応じない」という姿勢を崩していない。米軍のプレゼンスが中東に残る限り、外交的解決は困難だという強硬派が国内で力を持ち続けているからだ。IAEA uranium enrichmentのデータが外圧になっているのは確かだが、それがイランの態度を軟化させるかどうかは別の話、というのが正直なところだろう。

この先どうなる

最も現実的なシナリオは、米欧が共同で「限定的な合意」を目指す路線に入ること。完全な核廃棄ではなく、濃縮活動の一時凍結と制裁緩和を交換する形の暫定合意だ。ただしトランプが「完全な勝利」を求める場合、この妥協案を自ら蹴ることもある。

もう一つ注目しておきたいのが、イスラエルの動向。イランの核施設への軍事オプションを公言しているネタニヤフ政権は、外交交渉が進むほど「先手を打つ」圧力を国内から受けやすくなる。米欧の電話会談が表に出るタイミングで、中東の別の場所が動く、というのは過去にも繰り返されてきたパターンでもある。今後数週間、Iran nuclear programをめぐる動きは加速する可能性が高い。